第37回 第2問 論点:工事収益の認識(工事進行基準)重要度 A配点 14点未着手

長期請負工事の収益認識(発生主義による基準と実現主義による基準)

これは建設業経理士1級 財務諸表 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第2問(配点 14点)の問題です。論点は「工事収益の認識(工事進行基準)」(重要度A・解答の形は記号(ア〜チ/ア〜ネ)を空欄 7 個に記入)。採点すると、解き方 3 手順・引っかけの指摘が読めます。

建設業会計における長期請負工事の収益認識に関する次の文章の【 】に入れるべき最も適当な用語を下記の<用語群>の中から選び、その記号(ア〜チ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

 会計期末に工事進行の程度(【1】)を見積り、【1】に応じて当期の工事収益を認識する方法は、一般に【2】とよばれ、長期請負工事の収益認識基準として発生主義を適用した典型的な例である。

 工事の収益が工事の各段階を通じて徐々に形成されると考えるかぎり、2会計期間以上にまたがる工事について、この工事収益の全額を引渡時点で計上する(これを【3】という)ことは合理的でない。【3】によれば、工事収益はすべて引渡しの期間に帰属することとなり、収益額の期間配分が不公平なものとなり、その結果、期間利益の指標性が著しく損なわれる。【2】を適用することによって、このような工事収益の期間配分の不合理を回避することができる。また、請負工事においては、通常、契約によって工事の買取および工事代金の大きさが事前に取り決められている。このような契約の存在が、工事段階における収益の計上に客観的な証拠を提供しているといえる。このように、収益の【4】の合理性と請負工事であるという【5】の2点が、【2】の適用を合理的なものとする実質的基盤を形成している。

 他方、長期請負工事の収益については実現主義による認識基準もあり、これに属する基準として【3】と【6】の二つをあげることができる。「実現」という用語は、販売行為を通じて、【7】が貨幣もしくは貨幣請求権に転化することを意味する。この意味に企業会計原則等における実現主義に関する記述を加味して考慮すると、実現の意味は次の2点に要約できる。

 ⓐ 明確な買取意思に裏付けられた【7】の提供

 ⓑ その対価としての【8】(現金および売上債権)の流入

 実現主義に属する収益計上基準を適用する場合には、これら二つの条件が満たされる時点で収益が計上されなければならない。

  • <用語群>
  • ア 工事進行基準 イ 工事完成基準 ウ 延払基準 エ 計算の確実性
  • オ 収益の客観性 カ 固定資金 キ 流動資金 ク 総額請負契約
  • コ 単価精算契約 サ 工事進捗度 シ 原価補償契約 ス 財・用役
  • セ 債権・債務 ソ 収益・費用 タ 計算基準 チ 期間帰属

解答欄

それぞれの空欄に当てはまるものを選んで「採点する」を押してください。

正解

空欄1サ
空欄2ア
空欄3イ
空欄4チ
空欄5エ
空欄6ウ
空欄7ス
空欄8キ

解き方

  1. 【1】工事進行の程度は「工事進捗度」(サ)。原価比例法などで見積る。【2】進捗度に応じて各期に工事収益を認識する方法は「工事進行基準」(ア)で、発生主義を適用した典型例。【3】工事収益の全額を引渡時点で計上するのは「工事完成基準」(イ)。
  2. 【4】【5】工事進行基準を合理的にする 2 つの基盤は、収益の「期間帰属」(チ)の合理性(各期の利益の指標性が保たれる)と、請負契約により工事代金が事前に決まっているという「計算の確実性」(エ)。「収益の客観性」(オ)や「計算基準」(タ)は文脈に合わない。
  3. 【6】実現主義に属する基準は工事完成基準と「延払基準」(ウ)。【7】実現とは販売行為を通じて「財・用役」(ス)が貨幣または貨幣請求権に転化すること。【8】その対価として流入する現金および売上債権は「流動資金」(キ)。「固定資金」(カ)ではない。
引っかけ:【3】は本文中に 3 か所あるが、すべて工事完成基準。【5】は「請負工事であるという」に続くので、契約の存在が保証する「計算の確実性」を選ぶ。用語群の「総額請負契約」「原価補償契約」「単価精算契約」は契約の種類で、この文章には入らない。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務諸表 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する