第34回 第5問 論点:精算表(決算整理の総合問題)重要度 A配点 36点未着手

精算表(機械装置の除却、元利継続式定期預金の未収利息、その他有価証券の税効果、工事進行基準の見積変更)

これは建設業経理士1級 財務諸表 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問(配点 36点)の問題です。論点は「精算表(決算整理の総合問題)」(重要度A・解答の形は精算表(3 点×12 箇所))。採点すると、解き方 18 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙に示されているY建設株式会社の当会計年度(20×4 年 4 月 1 日〜20×5 年 3 月 31 日)に係る精算表を完成しなさい。ただし、計算過程で端数が生じた場合は、千円未満の端数を切り捨てること。なお、整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目は、そこに記入すること。また、経過勘定項目はすべて期首に再振替されている。

(1) 機械装置(同一機種で 4 台)は、20×2 年 4 月 1 日に取得し、同日より使用を開始したものであり、取得した時点での条件は次のとおりである。

 取得原価 80,000 千円 残存価額 ゼロ 耐用年数 10 年 減価償却方法 定額法

 しかし、これらの機械装置のうち 1 台が決算日に水没し、今後使用できないことが判明したために廃棄処分する。なお、減価償却費は未成工事支出金に計上し、廃棄処分に伴い発生する損失は固定資産除却損に計上すること。

仕訳 (1)①
借方貸方
仕訳 (1)②
借方貸方

(2) 定期預金は、20×3 年 4 月 1 日に、年利 2%、元利継続式(元利金を毎年継続して預入する方式)3 年の契約で預け入れたものである。本年度末における未収利息を計上する。

仕訳 (2)①
借方貸方
仕訳 (2)②
借方貸方

(3) 有価証券はすべてその他有価証券であり、期末の時価は 17,200 千円である。実効税率を 30% として税効果会計を適用する。

仕訳 (3)
借方貸方

(4) 退職給付引当金への当期繰入額は 13,260 千円であり、このうち 11,950 千円は工事原価、1,310 千円は販売費及び一般管理費である。なお、現場作業員の退職給付引当金については、月次原価計算で月額 980 千円の予定計算を実施しており、20×5 年 3 月までの毎月の予定額は、未成工事支出金の借方と退職給付引当金の貸方にすでに計上されている。この予定計上額と実際発生額との差額は工事原価に加減する。

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方

(5) 期末時点で施工中の工事は次の工事だけであり、収益認識には原価比例法による工事進行基準を適用している。

 工事期間は 4 年(20×2 年 4 月 1 日〜20×6 年 3 月 31 日)、当初契約時の工事収益総額は 750,000 千円、工事原価総額の見積額は 600,000 千円で、前受金として着手前に 100,000 千円、第 2 期末に 250,000 千円をそれぞれ受領している。

 当期末までの工事原価発生額は、第 1 期が 72,000 千円、第 2 期が 168,000 千円、第 3 期が 260,500 千円であった。資材価格と人件費の上昇により、第 3 期首(当期首)に工事原価総額の見積りを 650,000 千円に変更するとともに、交渉により、請負工事代金総額を 780,000 千円とすることが認められた。

仕訳 (5)①
借方貸方
仕訳 (5)②
借方貸方

(6) 受取手形と完成工事未収入金の期末残高に対して 2% の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。このうち 2,222 千円については税務上損金算入が認められないため、実効税率を 30% として税効果会計を適用する。

仕訳 (6)①
借方貸方
仕訳 (6)②
借方貸方

(7) 当期の完成工事高に対して 0.5% の完成工事補償引当金を設定する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 法人税、住民税及び事業税と未払法人税等を計上する。なお、実効税率は 30% とする。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 税効果を考慮した上で、当期純損益を計上する。

解答欄

精算表(単位:千円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金預金7,153
受取手形24,000
完成工事未収入金36,500
貸倒引当金250
未成工事支出金250,460
仮払法人税等8,600
機械装置80,000
機械装置減価償却累計額16,000
土地20,000
定期預金30,000
投資有価証券17,000
その他の諸資産11,582
工事未払金36,168
未成工事受入金50,000
完成工事補償引当金1,216
退職給付引当金124,793
その他の諸負債20,684
資本金180,000
資本準備金15,000
利益準備金8,000
繰越利益剰余金3,000
完成工事高312,600
完成工事原価259,800
受取利息600
雑収入1,863
販売費及び一般管理費20,089
その他の諸費用3,790
769,574769,574
固定資産除却損
未収利息
貸倒引当金繰入額
その他有価証券評価差額金
繰延税金資産
繰延税金負債
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:千円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金預金7,1537,153
受取手形24,00024,000
完成工事未収入金36,500250,600287,100
貸倒引当金2505,9726,222
未成工事支出金250,46010,040260,500
仮払法人税等8,6008,600
機械装置80,00020,00060,000
機械装置減価償却累計額16,0006,0008,00018,000
土地20,00020,000
定期預金30,00060030,600
投資有価証券17,00020017,200
その他の諸資産11,58211,582
工事未払金36,16836,168
未成工事受入金50,00050,000
完成工事補償引当金1,2161,8503,066
退職給付引当金124,7931,500126,293
その他の諸負債20,68420,684
資本金180,000180,000
資本準備金15,00015,000
利益準備金8,0008,000
繰越利益剰余金3,0003,000
完成工事高312,600300,600613,200
完成工事原価259,800260,500520,300
受取利息6001,212612
雑収入1,8631,863
販売費及び一般管理費20,0891,31021,399
その他の諸費用3,7903,790
769,574769,574
固定資産除却損14,00014,000
未収利息612612
貸倒引当金繰入額5,9725,972
その他有価証券評価差額金140140
繰延税金資産666666
繰延税金負債6060
未払法人税等7,1307,130
法人税、住民税及び事業税15,73015,730
法人税等調整額666666
616,230616,230581,191616,341458,913423,763
当期純利益35,15035,150
616,341616,341458,913458,913

決算整理仕訳

借方貸方
(1)①
未成工事支出金8,000
機械装置減価償却累計額8,000
(1)②
機械装置減価償却累計額6,000
固定資産除却損14,000
機械装置20,000
(2)①
定期預金600
受取利息600
(2)②
未収利息612
受取利息612
(3)
投資有価証券200
繰延税金負債60
その他有価証券評価差額金140
(4)①
未成工事支出金190
退職給付引当金190
(4)②
販売費及び一般管理費1,310
退職給付引当金1,310
(5)①
未成工事受入金50,000
完成工事未収入金250,600
完成工事高300,600
(5)②
完成工事原価260,500
未成工事支出金260,500
(6)①
貸倒引当金繰入額5,972
貸倒引当金5,972
(6)②
繰延税金資産666
法人税等調整額666
(7)
未成工事支出金1,850
完成工事補償引当金1,850
(8)
法人税、住民税及び事業税15,730
仮払法人税等8,600
未払法人税等7,130

解き方

  1. (1) は減価償却 → 除却の順に処理する。まず 4 台分の減価償却 8,000 を未成工事支出金に計上し、水没した 1 台の取得原価 20,000 と累計額 6,000(2,000 × 3 年)を除いて帳簿価額 14,000 を固定資産除却損にする。機械装置の貸借対照表価額 = 80,000 − 20,000 = 60,000、累計額 = 16,000 + 8,000 − 6,000 = 18,000。
  2. (2) の定期預金は元利継続式なので、前年度の利息 600 が当期首に元金に組み入れられている。残高試算表の受取利息が借方 600 なのは、前期末の未収利息 600 を期首に再振替したため。定期預金 30,600(貸借対照表)に対する当期の利息 612 を未収利息に計上し、受取利息の損益計算書の金額は 612 になる。
  3. (5) の工事進行基準は、当期首に見積変更があったので変更後の 780,000・650,000 で累計を計算し、前期までの計上額 300,000 を引く。前受金 350,000 − 300,000 = 50,000 が残高試算表の未成工事受入金と一致することを確かめてから、その全額を充当する。
  4. (8)(9) は税引前当期純利益 50,214 × 30% = 15,064 が税効果後の法人税等の負担額になるように、法人税、住民税及び事業税 = 15,064 + 法人税等調整額 666 = 15,730 とする。当期純利益 = 50,214 − 15,730 + 666 = 35,150。
  5. (1)① 4 台分の減価償却費 = 80,000 ÷ 10 年 = 8,000(1 台あたり 2,000)。指示により未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 8,000 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 8,000
  6. (1)② 水没した 1 台の取得原価 = 80,000 ÷ 4 台 = 20,000、減価償却累計額 = 2,000 × 3 年(20×2 年 4 月〜20×5 年 3 月)= 6,000。帳簿価額 20,000 − 6,000 = 14,000 を固定資産除却損にし、取得原価と累計額の両方を減らす。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 6,000・固定資産除却損 14,000 /〔貸方〕機械装置 20,000
  7. (2)① 前年度(20×3 年 4 月〜20×4 年 3 月)の利息 30,000 × 2% = 600 は、前期末に未収利息として計上され、当期首に再振替されている(受取利息の借方 600)。元利継続式なので、この 600 は 20×4 年 4 月 1 日に元金に組み入れられた。定期預金を 600 増やし、受取利息に戻す。 〔借方〕定期預金 600 /〔貸方〕受取利息 600
  8. (2)② 当期の利息 = 元利継続後の元金 30,600 × 2% = 612 を未収利息に計上する。当期の受取利息は 600 − 600 + 612 = 612 になる。 〔借方〕未収利息 612 /〔貸方〕受取利息 612
  9. (3) 評価差額 = 時価 17,200 − 帳簿価額 17,000 = 200(評価益)。繰延税金負債 = 200 × 30% = 60、その他有価証券評価差額金 = 200 − 60 = 140(貸方)。投資有価証券を 200 増やして時価にする。 〔借方〕投資有価証券 200 /〔貸方〕繰延税金負債 60・その他有価証券評価差額金 140
  10. (4)① 現場作業員分の予定計上額 = 980 × 12 か月 = 11,760。実際 11,950 との差額 190 は実際の方が多いので、未成工事支出金と退職給付引当金を 190 増やす。 〔借方〕未成工事支出金 190 /〔貸方〕退職給付引当金 190
  11. (4)② 販売費及び一般管理費分 1,310 は未処理なので、そのまま繰り入れる。退職給付引当金の増加は合計 1,500。 〔借方〕販売費及び一般管理費 1,310 /〔貸方〕退職給付引当金 1,310
  12. (5)① 当期首の見積変更後の金額で累計を計算し直す。進捗率 = (72,000 + 168,000 + 260,500) ÷ 650,000 = 77%、累計工事収益 = 780,000 × 77% = 600,600。前期までの計上額 = 第 1 期 750,000 × 72,000 ÷ 600,000 = 90,000、第 2 期 750,000 × 240,000 ÷ 600,000 − 90,000 = 210,000、計 300,000。当期の完成工事高 = 600,600 − 300,000 = 300,600。未成工事受入金の残高 50,000(前受金 350,000 − 300,000)を充当し、残り 250,600 を完成工事未収入金にする。 〔借方〕未成工事受入金 50,000・完成工事未収入金 250,600 /〔貸方〕完成工事高 300,600
  13. (5)② 当期の工事原価発生額 260,500 を未成工事支出金から完成工事原価に振り替える。(1)①・(4)①・(7) の整理を加えた未成工事支出金 250,460 + 8,000 + 190 + 1,850 = 260,500 がちょうど振り替えられ、次期繰越額は 0 になる。 〔借方〕完成工事原価 260,500 /〔貸方〕未成工事支出金 260,500
  14. (6)① 受取手形 24,000 + 完成工事未収入金 (36,500 + 250,600) = 311,100。311,100 × 2% = 6,222。残高 250 との差額 5,972 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 5,972 /〔貸方〕貸倒引当金 5,972
  15. (6)② 損金不算入額 2,222 × 30% = 666.6 → 666(千円未満切捨て)を繰延税金資産に計上し、法人税等調整額(貸方)で法人税等を減らす。 〔借方〕繰延税金資産 666 /〔貸方〕法人税等調整額 666
  16. (7) 当期の完成工事高 = 312,600 + 300,600 = 613,200。613,200 × 0.5% = 3,066。残高 1,216 との差額 1,850 を繰り入れ、工事原価なので未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 1,850 /〔貸方〕完成工事補償引当金 1,850
  17. (8) 税引前当期純利益 = 収益 615,675(613,200 + 612 + 1,863)− 費用 565,461(520,300 + 21,399 + 3,790 + 14,000 + 5,972)= 50,214。税効果を考慮した法人税等 = 50,214 × 30% = 15,064(千円未満切捨て)。法人税、住民税及び事業税はこれに法人税等調整額 666 を足し戻した 15,730。仮払法人税等 8,600 を充当し、残り 7,130 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 15,730 /〔貸方〕仮払法人税等 8,600・未払法人税等 7,130
  18. 損益計算書の貸方合計 616,341 − 借方合計 581,191 = 当期純利益 35,150。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:定期預金の利息は 30,000 × 2% = 600 ではなく、元利継続後の 30,600 × 2% = 612 で計算する。受取利息の残高試算表の借方 600 を貸方と見誤らない。その他有価証券の評価差額は税効果後の純額 140 を貸借対照表の貸方に書き、繰延税金負債 60 と繰延税金資産 666 は相殺しない(精算表上は別の行)。貸倒引当金の完成工事未収入金は (5) で増えた後の 287,100 で計算する。法人税等を 50,214 × 30% = 15,064 のまま計上すると当期純利益が 35,816 になり、税効果を考慮した利益にならない。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務諸表 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する