第37回 第5問 論点:精算表(決算整理の総合問題)重要度 A配点 36点未着手

精算表(機械装置の修理と減価償却、その他有価証券の償却原価法と税効果、元利継続式定期預金、工事進行基準の見積変更)

これは建設業経理士1級 財務諸表 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第5問(配点 36点)の問題です。論点は「精算表(決算整理の総合問題)」(重要度A・解答の形は精算表(3 点×12 箇所))。採点すると、解き方 18 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙に示されているX建設株式会社の当会計年度(20×4年4月1日〜20×5年3月31日)に係る精算表を完成しなさい。ただし、計算過程で端数が生じた場合は、千円未満の端数を切り捨てること。なお、整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目は、そこに記入すること。

(1) 機械装置(同一機種で 3台)は、20×2年4月1日に取得し、同日より使用を開始したものであり、取得した時点での条件は次のとおりである。

 取得原価 90,000 千円 耐用年数 5年 残存価額 ゼロ 減価償却方法 定額法

 当期首、これらの機械装置のうち 1台に不具合が発生し、大幅な部品交換を行うことによって修理した。この修理の結果、当該機械装置の耐用年数が 1年延長された。修理に要した費用総額は 8,000 千円であり、このうち当該機械装置の性能回復に要した費用は 5,000 千円と見積もられる。修理時に行った処理は次のとおりである(処理の単位は千円)。

 (借)仮払金 8,000 /(貸)現金預金 8,000

 上の処理を修正すると共に、すべての機械装置について当期の減価償却費を計上する。なお、減価償却費および機械装置の性能回復に要した費用は未成工事支出金に計上すること。

仕訳 (1)①
借方貸方
仕訳 (1)②
借方貸方
仕訳 (1)③
借方貸方

(2) 投資有価証券はすべて当期首に、額面 100円につき 98.5円で購入したB社社債(額面金額:40,000 千円、年利:2.0%、利払日:毎年 9月と 3月の末日、償還期日:20×9年3月31日)である。ただし、額面金額と取得価額との差額は金利の調整と認められる。この社債はその他有価証券に分類されており、期末の時価は 39,380 千円である。償却原価法(定額法)を適用するとともに評価替えを行う。また、その他有価証券評価差額金については、実効税率を 30% として税効果会計を適用する。

仕訳 (2)①
借方貸方
仕訳 (2)②
借方貸方

(3) 定期預金は、20×3年4月1日に、元金 20,000 千円、年利 1.0%、元利継続式(元利金を毎年継続して預入する方式)3年の契約で預け入れたものである。なお、利息の未収額については、毎年の決算整理において元金に加算している。

仕訳 (3)
借方貸方

(4) 退職給付引当金への当期繰入額は 8,625 千円であり、このうち 7,389 千円は工事原価、1,236 千円は販売費及び一般管理費である。なお、現場作業員の退職給付引当金については、月次原価計算で月額 620 千円の予定計算を実施しており、20×5年3月までの毎月の予定額は、未成工事支出金の借方と退職給付引当金の貸方にすでに計上されている。この予定計上額と実際発生額との差額は未成工事支出金に加減する。

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方

(5) 期末時点で施工中の工事は次の工事だけであり、収益認識には原価比例法による工事進行基準を適用している。

 工事期間は 4年(20×2年4月1日〜20×6年3月31日)、当初契約時の工事収益総額は 960,000 千円、工事原価総額の見積額は 700,000 千円で、前受金として着手前に 300,000 千円、第2期末に 200,000 千円をそれぞれ受領している。

 当期末までの工事原価発生額は、第1期が 165,000 千円、第2期が 171,000 千円、第3期(当期)が 211,500 千円であった。資材価格と人件費の高騰により、第3期首(当期首)に工事原価総額の見積りを 750,000 千円に変更するとともに、交渉により、請負工事代金総額を 1,000,000 千円とすることが認められた。

仕訳 (5)①
借方貸方
仕訳 (5)②
借方貸方

(6) 電子記録債権の期末残高に対して 2.0%、完成工事未収入金の期末残高に対して 3.0% の貸倒引当金をそれぞれ設定する(差額補充法)。このうち 1,500 千円については税務上損金算入が認められないため、実効税率を 30% として税効果会計を適用する。

仕訳 (6)①
借方貸方
仕訳 (6)②
借方貸方

(7) 当期の完成工事高に対して 0.5% の完成工事補償引当金を設定する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 法人税、住民税及び事業税と未払法人税等を計上する。なお、実効税率は 30% とする。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 税効果を考慮した上で、当期純損益を計上する。

解答欄

精算表(単位:千円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金預金3,152
電子記録債権57,600
完成工事未収入金98,700
貸倒引当金1,193
未成工事支出金186,373
仮払法人税等15,000
仮払金8,000
機械装置90,000
機械装置減価償却累計額36,000
土地150,000
定期預金20,200
投資有価証券39,400
その他の諸資産18,043
工事未払金163,544
未成工事受入金39,200
完成工事補償引当金1,362
退職給付引当金123,008
その他の諸負債10,247
資本金200,000
資本準備金26,000
利益準備金20,000
繰越利益剰余金4,800
完成工事高588,800
有価証券利息800
雑収入3,890
完成工事原価481,230
販売費及び一般管理費42,514
その他の諸費用8,632
1,218,8441,218,844
貸倒引当金繰入額
その他有価証券評価差額金
受取利息
繰延税金資産
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:千円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金預金3,1523,152
電子記録債権57,60057,600
完成工事未収入金98,700230,000328,700
貸倒引当金1,1939,82011,013
未成工事支出金186,37325,178211,551
仮払法人税等15,00015,000
仮払金8,0008,000
機械装置90,0003,00093,000
機械装置減価償却累計額36,00017,25053,250
土地150,000150,000
定期預金20,20020220,402
投資有価証券39,40012014039,380
その他の諸資産18,04318,043
工事未払金163,544163,544
未成工事受入金39,20039,200
完成工事補償引当金1,3622,9284,290
退職給付引当金123,008511,236124,193
その他の諸負債10,24710,247
資本金200,000200,000
資本準備金26,00026,000
利益準備金20,00020,000
繰越利益剰余金4,8004,800
完成工事高588,800269,200858,000
有価証券利息800120920
雑収入3,8903,890
完成工事原価481,230211,500692,730
販売費及び一般管理費42,5141,23643,750
その他の諸費用8,6328,632
1,218,8441,218,844
貸倒引当金繰入額9,8209,820
その他有価証券評価差額金9898
受取利息202202
繰延税金資産492492
未払法人税等17,87417,874
法人税、住民税及び事業税32,87432,874
法人税等調整額450450
553,771553,771787,806863,462710,867635,211
当期純利益75,65675,656
863,462863,462710,867710,867

決算整理仕訳

借方貸方
(1)①
機械装置3,000
未成工事支出金5,000
仮払金8,000
(1)②
未成工事支出金12,000
機械装置減価償却累計額12,000
(1)③
未成工事支出金5,250
機械装置減価償却累計額5,250
(2)①
投資有価証券120
有価証券利息120
(2)②
繰延税金資産42
その他有価証券評価差額金98
投資有価証券140
(3)
定期預金202
受取利息202
(4)①
退職給付引当金51
未成工事支出金51
(4)②
販売費及び一般管理費1,236
退職給付引当金1,236
(5)①
未成工事受入金39,200
完成工事未収入金230,000
完成工事高269,200
(5)②
完成工事原価211,500
未成工事支出金211,500
(6)①
貸倒引当金繰入額9,820
貸倒引当金9,820
(6)②
繰延税金資産450
法人税等調整額450
(7)
未成工事支出金2,928
完成工事補償引当金2,928
(8)
法人税、住民税及び事業税32,874
仮払法人税等15,000
未払法人税等17,874

解き方

  1. (1) は修理費の区分 → 減価償却の順に処理する。仮払金 8,000 のうち性能回復分 5,000 は収益的支出として未成工事支出金へ、耐用年数を延長させた 3,000 は資本的支出として機械装置へ。減価償却は修理しなかった 2台(6,000 × 2 = 12,000)と修理した 1台((18,000 + 3,000) ÷ 4年 = 5,250)を分けて計算する。機械装置の貸借対照表価額 = 93,000、累計額 = 36,000 + 17,250 = 53,250。
  2. (5) の工事進行基準は、当期首に見積変更があったので変更後の 1,000,000・750,000 で累計 730,000 を計算し、前期までの計上額 460,800(第1期 226,285 + 第2期 234,515)を引く。前受金 500,000 − 460,800 = 39,200 が残高試算表の未成工事受入金と一致することを確かめてから、その全額を充当する。
  3. (8)(9) は税引前当期純利益 108,080 × 30% = 32,424 が税効果後の法人税等の負担額になるように、法人税、住民税及び事業税 = 32,424 + 法人税等調整額 450 = 32,874 とする。当期純利益 = 108,080 − 32,874 + 450 = 75,656。
  4. (1)① 修理費 8,000 のうち性能回復に要した 5,000 は収益的支出(修繕費)なので指示により未成工事支出金へ、残り 3,000 は耐用年数を延長させた資本的支出なので機械装置の取得原価に加える。仮払金 8,000 を取り崩す。 〔借方〕機械装置 3,000・未成工事支出金 5,000 /〔貸方〕仮払金 8,000
  5. (1)② 修理しなかった 2台の減価償却費 = 90,000 ÷ 3台 ÷ 5年 × 2台 = 12,000。指示により未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 12,000 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 12,000
  6. (1)③ 修理した 1台は、期首帳簿価額 30,000 − 6,000 × 2年 = 18,000 に資本的支出 3,000 を加えた 21,000 を、残存耐用年数 3年 + 延長 1年 = 4年で償却する。21,000 ÷ 4年 = 5,250。 〔借方〕未成工事支出金 5,250 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 5,250
  7. (2)① 取得価額 = 40,000 × 98.5 ÷ 100 = 39,400(残高試算表と一致)。額面との差額 600 を償還までの 5年(60か月)で配分する。当期分 = 600 × 12/60 = 120 を投資有価証券に加え、有価証券利息にする。償却原価 = 39,520。 〔借方〕投資有価証券 120 /〔貸方〕有価証券利息 120
  8. (2)② 評価差額 = 時価 39,380 − 償却原価 39,520 = △140(評価損)。繰延税金資産 = 140 × 30% = 42、その他有価証券評価差額金 = 140 − 42 = 98(借方)。投資有価証券を 140 減らして時価 39,380 にする。 〔借方〕繰延税金資産 42・その他有価証券評価差額金 98 /〔貸方〕投資有価証券 140
  9. (3) 前期末に 20,000 × 1.0% = 200 の利息が元金に加算され、残高試算表の定期預金は 20,200。当期の利息 = 20,200 × 1.0% = 202 を受取利息にし、指示により定期預金(元金)に加算する。 〔借方〕定期預金 202 /〔貸方〕受取利息 202
  10. (4)① 現場作業員分の予定計上額 = 620 × 12か月 = 7,440。実際 7,389 との差額 51 は予定の方が多いので、未成工事支出金と退職給付引当金を 51 減らす。 〔借方〕退職給付引当金 51 /〔貸方〕未成工事支出金 51
  11. (4)② 販売費及び一般管理費分 1,236 は未処理なので、そのまま繰り入れる。 〔借方〕販売費及び一般管理費 1,236 /〔貸方〕退職給付引当金 1,236
  12. (5)① 前期までの計上額:第1期 = 960,000 × 165,000 ÷ 700,000 = 226,285(千円未満切捨て)、第2期末までの累計 = 960,000 × 336,000 ÷ 700,000 = 460,800。当期は見積変更後の金額で計算し直す。進捗率 = (165,000 + 171,000 + 211,500) ÷ 750,000 = 73%、累計工事収益 = 1,000,000 × 73% = 730,000。当期の完成工事高 = 730,000 − 460,800 = 269,200。未成工事受入金の残高 39,200(前受金 500,000 − 460,800)を充当し、残り 230,000 を完成工事未収入金にする。 〔借方〕未成工事受入金 39,200・完成工事未収入金 230,000 /〔貸方〕完成工事高 269,200
  13. (5)② 当期の工事原価発生額 211,500 を未成工事支出金から完成工事原価に振り替える。(1)・(4)①・(7) の整理を加えた未成工事支出金 186,373 + 5,000 + 12,000 + 5,250 − 51 + 2,928 = 211,500 がちょうど振り替えられ、次期繰越額は 0 になる。 〔借方〕完成工事原価 211,500 /〔貸方〕未成工事支出金 211,500
  14. (6)① 電子記録債権 57,600 × 2.0% = 1,152。完成工事未収入金 (98,700 + 230,000) × 3.0% = 9,861。設定額 11,013 − 残高 1,193 = 9,820 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 9,820 /〔貸方〕貸倒引当金 9,820
  15. (6)② 損金不算入額 1,500 × 30% = 450 を繰延税金資産に計上し、法人税等調整額(貸方)で法人税等を減らす。 〔借方〕繰延税金資産 450 /〔貸方〕法人税等調整額 450
  16. (7) 当期の完成工事高 = 588,800 + 269,200 = 858,000。858,000 × 0.5% = 4,290。残高 1,362 との差額 2,928 を繰り入れ、工事原価なので未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 2,928 /〔貸方〕完成工事補償引当金 2,928
  17. (8) 税引前当期純利益 = 収益 863,012(858,000 + 920 + 3,890 + 202)− 費用 754,932(692,730 + 43,750 + 8,632 + 9,820)= 108,080。税効果を考慮した法人税等 = 108,080 × 30% = 32,424。法人税、住民税及び事業税はこれに法人税等調整額 450 を足し戻した 32,874。仮払法人税等 15,000 を充当し、残り 17,874 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 32,874 /〔貸方〕仮払法人税等 15,000・未払法人税等 17,874
  18. 損益計算書の貸方合計 863,462 − 借方合計 787,806 = 当期純利益 75,656。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:修理した 1台の減価償却は、取得原価 33,000 ÷ 5年 ではなく、期首帳簿価額に資本的支出を加えた 21,000 を残存 4年(3年+延長 1年)で割る。定期預金の利息は当初元金 20,000 ではなく、前期の利息を加えた 20,200 に 1% を掛ける。第1期の工事収益は 226,285.7… の切捨てなので、累計 460,800 との差で第2期を求める。法人税等を 108,080 × 30% = 32,424 のまま計上すると当期純利益が 76,106 になり、税効果を考慮した利益にならない。

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