原価管理の定義と原価企画・原価改善・原価維持の関係(用語選択)
これは建設業経理士1級 原価計算 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第2問(配点 10点)の問題です。論点は「原価管理・実行予算・原価企画」(重要度B・解答の形は記号(AまたはB/ア〜ナ等)5〜10か所)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の文章の空欄に入れるべき最も適当な用語を下記の<用語群>の中から選び、その記号(ア〜ナ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。
わが国の『原価計算基準』(昭和 37 年)では、原価管理とは、「原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、【1】を増進する措置を講ずること」と定義されている。ここでの原価管理は、標準原価計算による【2】を意味している。
その後、当時の通産省産業構造審議会から発表された答申『コスト・マネジメント-原価引下げの新理念とその方法』(昭和 41 年)では、原価管理を【3】と【2】に区分して定義している。
そして最近では、原価管理は、【4】、【5】、【6】の 3 つからなっているとされている。【4】は企画・設計などの源流段階(着工前段階)において目標原価まで【7】を引き下げる原価低減活動を意味している。【5】は製造(施工)をめぐる諸条件を変更して標準原価を下回る原価水準を達成する活動のことである。【6】は製造(施工)段階において【8】が標準原価を大きく逸脱しないようにすることを目指している。【4】と【5】はともに原価低減であるが、それを実現するプロセスが企画・設計段階にあるか製造(施工)段階にあるかで異なっている。また【5】と【6】はともに製造(施工)段階で行われる原価管理である。なお、前述した『原価計算基準』でいう原価管理とは、このうちの【6】と同じ意味である。
- <用語群>
- ア 作業効率 イ 原価維持 ウ 予定原価 エ 原価計画
- オ 原価目標 カ 事前原価 キ 原価差異 ク 現実的標準原価
- コ 見積原価 サ 操業度 シ 正常原価 ス 実際原価
- セ 原価統制 ソ 価値工学 タ 原価能率 チ 原価企画
- ト 予算原価 ナ 原価改善
解答欄
正解
| 空欄1 | タ |
|---|---|
| 空欄2 | セ |
| 空欄3 | エ |
| 空欄4 | チ |
| 空欄5 | ナ |
| 空欄6 | イ |
| 空欄7 | コ |
| 空欄8 | ス |
解き方
- 【1】『原価計算基準』第一章の原価管理の定義は「…これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずること」で結ばれる。「原価能率」(タ)が入る。「作業効率」(ア)は基準の文言ではない。
- 【2】基準の原価管理は、標準を設定して実際と比較し差異を分析するという標準原価計算による原価統制(コスト・コントロール)を指すので「原価統制」(セ)。昭和 41 年の『コスト・マネジメント』答申は、原価管理を原価の引下げを目指す「原価計画」(コスト・プランニング)と、設定した標準の達成を目指す「原価統制」(コスト・コントロール)に区分した。したがって【3】は「原価計画」(エ)で、【2】には同じ「原価統制」が入る。
- 【4】〜【6】現代の原価管理は原価企画・原価改善・原価維持の 3 つからなる。企画・設計などの源流段階で目標原価まで原価を引き下げるのが「原価企画」(チ)、製造(施工)段階で諸条件を変えて標準原価を下回る水準を達成するのが「原価改善」(ナ)、製造(施工)段階で標準原価から大きく逸脱しないよう統制するのが「原価維持」(イ)。
- 【7】原価企画は、製品の企画・設計段階で見積もった原価(見積原価)を目標原価まで引き下げる活動なので「見積原価」(コ)。【8】原価維持は実際に発生した原価が標準原価を大きく逸脱しないようにする活動なので「実際原価」(ス)。
- 検算:「【4】と【5】はともに原価低減」→ 原価企画と原価改善、「【5】と【6】はともに製造(施工)段階」→ 原価改善と原価維持、「『原価計算基準』でいう原価管理は【6】と同じ」→ 標準原価計算による統制 = 原価維持。すべて整合する。
同じ論点の過去問
第36回の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する