第36回 第4問 論点:直接原価計算・CVP・最適セールスミックス重要度 C配点 18点未着手

生産能力の制約下での改善効果の測定(不良品率・機械停止時間・材料消費量・販売価格の改善)

これは建設業経理士1級 原価計算 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第4問(配点 18点)の問題です。論点は「直接原価計算・CVP・最適セールスミックス」(重要度C・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 7 手順・引っかけの指摘が読めます。

S建材工業株式会社では、数台の同一機械を使って 1 種類の製品を作っている。次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値の円未満を四捨五入すること。

問1 当社は好況であり、フル操業しても生産した製品はすべて販売されるものとする。このとき、次のような改善ができたとすると、その経済的効果は月間いくらになるかを計算しなさい。ただし、各改善は単独でなされるものとする。また、本問では、改善に要するコストは考慮しない。

(1) 不良品率を現状より 1 割減らすことができる場合の経済的効果

(2) 保全・修理・段取りなどの機械停止時間を現状より 1 割減らすことができる場合の経済的効果

(3) 設計の工夫によって、直接材料消費量を現状より 1 割減らすことができる場合の経済的効果

(4) 品質水準を向上させることによって販売価格を現状より 1 割上げることができる場合の経済的効果

問2 当社は不況に直面し、販売量が月間 49,500 単位に落ちたとする。直接作業者の人数を減らすことはできない。この条件のもとで問1 の(3)の改善がなされたとすると、その経済的効果は月間いくらになるかを計算しなさい。

  • 1.直接作業者の 1 ヵ月の就業時間は 200 時間(正規時間 160 時間、残業時間 40 時間)まで可能であるが、機械設備の定期保全と故障修理に毎月 25 時間、作業の段取りなどに毎月 15 時間、合わせて 40 時間の機械停止時間があるので、正味の機械運転時間(実働時間)は月間 160 時間である。
  • 2.生産能力は機械運転時間(実働時間)によって制約されている。月間の生産量は、フル操業のとき(実働 160 時間)で 80,000 単位(すべて加工進捗度 100%)になるが、そのうち終点で不良品が 10% 正常的に発生し、すべて廃棄されている。
  • 3.フル操業の月の生産量 1 単位当たりのコストは次のとおりである。(単位:円)
費目金額
直接材料費1,200
直接労務費525
変動製造間接費600
固定製造間接費900
  • (注1)直接労務費は、正規時間の部分は月給制(月額総額 32,000,000 円)であるが、残業時間にはその 25% 増しの残業手当が支払われる。
  • (注2)変動製造間接費は実働時間に比例する。
  • (注3)直接労務費と固定製造間接費は、月間総額を 80,000 単位で割った値である。
  • 4.1 単位当たりの販売価格は 4,000 円である。

解答欄

円
円
円
円
円

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 (1) 不良品率を 1 割減らす場合の経済的効果3,200,000 円
問1 (2) 機械停止時間を 1 割減らす場合の経済的効果3,600,000 円
問1 (3) 直接材料消費量を 1 割減らす場合の経済的効果9,600,000 円
問1 (4) 販売価格を 1 割上げる場合の経済的効果28,800,000 円
問2 不況時に直接材料消費量を 1 割減らす場合の経済的効果6,600,000 円

解き方

  1. 現状(フル操業)を整理する。実働 160 時間で 80,000 単位を生産し、10%(8,000 単位)が不良品なので良品(販売量)は 72,000 単位。直接労務費の月間総額 = 525 × 80,000 = 42,000,000(月給 32,000,000 + 残業手当 32,000,000 ÷ 160 時間 × 1.25 × 40 時間 = 10,000,000)。変動製造間接費は 600 × 80,000 = 48,000,000 で、実働 1 時間当たり 300,000。固定製造間接費 900 × 80,000 = 72,000,000 は操業度に関係なく一定。
  2. 改善効果は、改善によって増減する収益と原価(差額)だけで測る。月給制の直接労務費(就業時間 200 時間は変わらない)と固定製造間接費は、どの改善でも金額が変わらない埋没原価なので無視する。
  3. 問1 (1):不良品率が 10% → 9% になると、生産量 80,000 単位は同じまま良品が 80,000 × 1% = 800 単位増える。材料費・加工費は生産量に対して発生しているので変わらず、増えるのは売上だけ。効果 = 800 × 4,000 = 3,200,000。
  4. 問1 (2):機械停止時間 40 時間を 1 割減らすと 36 時間になり、実働時間は 164 時間に増える。生産量 = 80,000 × 164 ÷ 160 = 82,000 単位(+2,000)、良品 = 82,000 × 90% = 73,800 単位(+1,800)。売上増 1,800 × 4,000 = 7,200,000。増える原価は直接材料費 2,000 × 1,200 = 2,400,000 と変動製造間接費 4 時間 × 300,000 = 1,200,000(直接労務費は就業時間が 200 時間のまま変わらないので増えない)。効果 = 7,200,000 - 2,400,000 - 1,200,000 = 3,600,000。
  5. 問1 (3):生産量 80,000 単位(不良品を含む)の直接材料費が 1 割減る。効果 = 1,200 × 80,000 × 10% = 9,600,000。
  6. 問1 (4):販売価格が 4,000 → 4,400 になり、販売量 72,000 単位(良品)に 400 ずつ上乗せされる。効果 = 72,000 × 400 = 28,800,000。
  7. 問2:販売量 49,500 単位を得るための生産量 = 49,500 ÷ 90% = 55,000 単位(不良品 5,500 単位を含む)。直接材料費の 1 割削減 = 1,200 × 55,000 × 10% = 6,600,000。直接作業者の人数を減らせないので労務費は変わらず、効果は材料費の節約だけになる。
引っかけ:(1) は「不良品率が 1 割減る」= 10% が 9% になることで、不良品率が 0% になるわけではない。(2) は生産量の増加(2,000 単位)に対して材料費と変動製造間接費が増える一方、直接労務費は月給制で残業時間も 40 時間のままなので増えない点を見抜く。(3) と問2 の材料費は不良品を含む生産量に対して発生するので、良品 72,000・49,500 ではなく生産量 80,000・55,000 で計算する。(4) は逆に販売できる良品 72,000 単位で計算する。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する