原価管理の定義と標準原価(原価標準・物量標準・タイトネス)の用語選択
これは建設業経理士1級 原価計算 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第2問(配点 14点)の問題です。論点は「標準原価計算と差異分析」(重要度B・解答の形は記号(AまたはB/ア〜ナ等)5〜10か所)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の文章の空欄の中に入れるべき最も適切な用語を下記の<用語群>の中から選び、その記号(ア〜ネ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。
1.わが国の『原価計算基準』では、「原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、【1】を増進する措置を講ずること」と定義されている。ここでの原価管理は、標準原価計算による【2】を意味する。
2.原価標準とは製品単位当たりの標準原価であり、標準原価は原価標準に【3】を乗じて算出される。
3.原価標準は、原則として【4】標準と【5】標準との両面を考慮して算定する。原単位管理または歩掛管理の観点からは【4】標準が特に重視される。
4.原価標準は、財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ【6】または正常価格をもって計算した原価をいう。ここで能率の尺度としての標準とは、その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する。
5.標準原価はそのタイトネス(厳格さ)を基礎に、理想標準原価、【7】、【8】に分類される。【7】は、良好な能率のもとにおいて、その達成が期待されうる原価である。【8】は、経営における異常な状態を排除し、経営活動に関する比較的長期にわたる過去の実際数値を統計的に平準化し、これに将来のすう勢を加味した正常能率、正常操業度および正常価格に基づいて決定される原価である。
- <用語群>
- ア 実際価格 イ 予定価格 ウ 標準価格 エ 物量
- オ 価格 カ 実際生産量 キ 計画生産量 ク 正常生産量
- コ 事前原価 サ 事後原価 シ 正常原価 ス 見積原価
- セ 現実的標準原価 ソ 基準標準原価 タ 当座標準原価 チ 原価能率
- ト 作業効率 ナ 原価統制 ニ 原価企画 ネ コスト・マネジメント
解答欄
正解
| 空欄1 | チ |
|---|---|
| 空欄2 | ナ |
| 空欄3 | カ |
| 空欄4 | エ |
| 空欄5 | オ |
| 空欄6 | イ |
| 空欄7 | セ |
| 空欄8 | シ |
解き方
- 【1】【2】『原価計算基準』の原価管理の定義は「…資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずること」で終わる。ここでいう原価管理は標準原価計算を使って実際原価を標準に近づける「原価統制」(コスト・コントロール)を指す。「原価企画」(ニ)は源流段階の原価低減、「コスト・マネジメント」(ネ)は原価統制と原価企画を含む広い概念なので入らない。
- 【3】標準原価 = 原価標準(製品 1 単位当たりの標準原価)× 実際生産量。標準原価は実際に生産した数量に対して計算するので「実際生産量」(カ)を掛ける。計画生産量や正常生産量は予算・配賦率の計算に使う数量で、標準原価の算出には使わない。
- 【4】【5】原価標準は「物量標準(消費量の標準)」と「価格標準(単価の標準)」の両面から算定する。原単位管理(材料 1 単位当たりの消費量)や歩掛管理(作業量当たりの労働時間)は消費量の管理なので、物量標準(エ)が特に重視される。同じ空欄 4 が 2 か所にあるので、両方に当てはまる用語を選ぶ。
- 【6】『原価計算基準』の標準原価の定義は「財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ予定価格または正常価格をもって計算した原価」。「予定価格」(イ)が入る。
- 【7】【8】タイトネスによる分類は、理想標準原価(最高能率・最大操業度)、現実的標準原価(良好な能率のもとで達成が期待される原価)、正常原価(過去の実際数値を統計的に平準化し将来のすう勢を加味した正常能率・正常操業度・正常価格に基づく原価)の 3 つ。良好な能率のもとで達成が期待されうる原価が「現実的標準原価」(セ)、比較的長期の実績を平準化したものが「正常原価」(シ)になる。基準標準原価・当座標準原価は改訂頻度による分類なので入らない。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する