平成28年度 問題1 設問1論点:配管の施工重要度 A未着手

重量機器のアンカーボルト・ダクト・器具排水管と排水横枝管・防火区画を貫通する配管の改善策

これは1級管工事施工管理技士 第二次検定 平成28年度(2016年12月4日(日)実施) 問題1 設問1の問題です。論点は「配管の施工」(重要度A・解答の形は記述・穴埋め)。採点すると、解き方 7 手順・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。

(1)〜(4)に示す各図について、適切でない部分の改善策を具体的かつ簡潔に記述しなさい。

【問題1】次の設問1及び設問2の答えを解答欄に記述しなさい。

(1) 重量機器のアンカーボルトの施工要領。床(鉄筋コンクリートのスラブで、内部に鉄筋が水平に1段通っている)の上にコンクリート基礎が置かれ、その上に機器本体の脚(底板)が載っている。コンクリート基礎の中には鉄筋が描かれておらず、基礎と床スラブの鉄筋をつなぐ鉄筋もない。基礎には四角い穴(箱抜き)があり、そこにJ形(下端がフック状に曲がった)のアンカーボルトが差し込まれ、周りにモルタルが充填されている。アンカーボルトの下端は箱抜きの底付近で止まり、床スラブの鉄筋とも基礎の鉄筋とも緊結されていない。箱抜きの内面は平らで、凹凸を付けるワインディングパイプなどは使われていない。アンカーボルトの頭部は機器の底板の上でナット2個(ダブルナット)で締め付けられ、ねじ山がナットの上に出ている。図中の文字:アンカーボルト、機器本体、コンクリート基礎、床、モルタル、鉄筋。
(2) ダクト施工要領(平面図)。右から主ダクト(3,000m³/h)が来て、風量調整ダンパー(VD)を通り、左へ主ダクト(2,000m³/h、左向きの矢印)が続く。VDのすぐ下流(左側)で主ダクトの上面から分岐ダクト(1,000m³/h)がエルボで立ち上がり、図の上方へ延びて、上端の消音エルボ(斜線のハッチング)で左へ曲がる。消音エルボの下流(左側)に分岐ダクトのVDがあり、その先でダクトが上下2つに分かれ、それぞれエルボを経て吹出口(各500m³/h、4方向に吹き出す矢印)に接続している。分岐ダクトのVDは消音エルボより下流の、吹出口に近い側にある。図中の文字:500m³/h(2か所)、VD(2か所)、消音エルボ、1,000m³/h、3,000m³/h、2,000m³/h。
(3) 器具排水管と排水横枝管の施工要領。上の図(立面図):床面の上に大便器が2個並び、それぞれの器具排水管が床下で斜めに下がって、右から左へ流れる排水横枝管(右端と左端に左向きの矢印)に、流れの方向へ向けたY形の継手で接続している。左の大便器の位置にA−A'の切断線がある。下の図(A−A'断面):床面の大便器から器具排水管が下がり、途中で曲がって斜めに下り、排水横枝管(断面の円で表示)の側面上部に接続している。器具排水管が排水横枝管に接続する角度は、水平線に対して60°と示されている。図中の文字:大便器、床面、器具排水管、排水横枝管、A、A'、A−A'、60°。
(4) 防火区画を貫通する配管の施工要領(断面図)。床(1時間耐火構造、斜線のハッチング)を排水管(VP−呼び径100、硬質ポリ塩化ビニル管)が上下に貫通している。床と排水管のすき間にはモルタルが充填されている。貫通部の上下とも排水管はそのまま硬質ポリ塩化ビニル管で、鋼管への切替えや被覆などの措置は描かれていない。図中の文字:排水管、VP−呼び径100、床(1時間耐火構造)、モルタル。

解答欄

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本試験は解答用紙の枠に手書きです。書き終えたら「採点する」で模範解答と要点を表示し、書けていた要点にチェックを入れて記録します。

字数は本試験の解答欄に入るおおよその量です。「〜する」「〜を行う」の形で、具体的な数値や方法まで書くと要点が入りやすくなります。

正解

(1) 重量機器のアンカーボルトの施工要領の改善策 模範解答

基礎は床スラブと一体に配筋した鉄筋コンクリートとし、アンカーボルトは埋込み式か、つなぎ筋に緊結した箱抜き式とする。

57 字
別解

重量機器のアンカーボルトは、鉄筋と緊結しない箱抜き式とせず、基礎コンクリートの打設時に埋め込んで固定する。

基礎を床スラブの鉄筋と緊結して一体とし、箱抜きのアンカーボルトは基礎のつなぎ筋に緊結してからモルタルを充填する。

(2) ダクト施工要領の改善策 模範解答

分岐ダクトのVDは消音エルボの上流側に移し、VDで発生する気流音を消音エルボで減衰させてから吹出口へ送る。

53 字
別解

消音エルボはVDより下流の吹出口に近い側に設け、ダンパーで発生した騒音が吹出口から室内に出ないようにする。

分岐ダクトの風量調整ダンパーは主ダクトからの分岐の近くに設け、その下流に消音エルボを配置する。

(3) 器具排水管と排水横枝管の施工要領の改善策 模範解答

器具排水管は、排水横枝管に水平から45°以内の鋭角で、水平に近い角度で合流させる。

41 字
別解

A−A'断面で水平から60°になっている器具排水管の合流角度を、45°以内に改めて水平に近く合流させる。

器具排水管は排水横枝管の側面上部から45°以内の角度で接続し、横枝管内の流れを乱さないようにする。

(4) 防火区画を貫通する配管の施工要領の改善策 模範解答

排水管は貫通部と両側1m以内を鋼管等の不燃材料とするか、国土交通大臣の認定を受けた耐火二層管等を用いる。

52 字
別解

VP呼び径100は外径が告示の数値を超えるので、床の貫通部から上下1m以内を排水用鋳鉄管などの不燃材料の管に替える。

硬質ポリ塩化ビニル管のまま貫通させる場合は、国土交通大臣の認定を受けた区画貫通の工法や耐火二層管で施工する。

要点(書けていたものにチェック)(1) 重量機器のアンカーボルトの施工要領の改善策(2) ダクト施工要領の改善策(3) 器具排水管と排水横枝管の施工要領の改善策(4) 防火区画を貫通する配管の施工要領の改善策
要点の 6 割以上で「正解」扱いにします。

模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。

解き方

  1. (1) 図のコンクリート基礎には鉄筋がなく、床スラブの鉄筋ともつながっていない。アンカーボルトは箱抜きにJ形ボルトを入れてモルタルを詰めただけで、どの鉄筋とも緊結されていない。重量機器は地震時に大きな水平力と引抜き力を受けるので、この形では基礎ごと滑ったり、アンカーボルトがモルタルごと抜けたりするおそれがある。
  2. 公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)の基礎施工要領(一)では、基礎は「床スラブと一体に配筋する場合」と「コンクリート床に独立して設置する場合」があり、アンカーボルトの取付方法は、ア 埋込アンカー、イ 箱抜きアンカー(つなぎ筋に緊結する場合)、ウ 箱抜きアンカー(鉄筋とは緊結しない場合)の3つがある。ボイラー・冷凍機・受水タンクなどの重量機器は、床スラブと一体に配筋した基礎でア又はイを用いる組合せだけが認められており、図の形(独立した基礎・鉄筋と緊結しない箱抜き)はどちらも使えない。
  3. (2) 風量調整ダンパー(VD)は羽根で気流を絞るので、気流音(発生騒音)が出る。図では分岐ダクトのVDが消音エルボの下流、吹出口のすぐ手前にあるので、VDで出た音は消音されないまま吹出口から室内に出てしまう。VDを消音エルボの上流側(主ダクトからの分岐の近く)に移せば、VDの音も消音エルボで減衰させることができる。消音器・消音エルボは、ダンパーなど騒音を出すものより下流(室内側)に置くのが原則である。
  4. (3) 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)第2編2.4.8(1)では、ドレン管を除き、排水横枝管等が合流する場合は、必ず45°以内の鋭角をもって水平に近く合流させるとしている。図の立面図ではY形の継手で流れの方向に合流しているが、A−A'断面では器具排水管が水平に対して60°の急な角度で横枝管に入っている。
  5. 上から急角度で落ちてくる排水は、横枝管の中の流れにぶつかって流れを乱し、管内の圧力変動や、上流側の器具のトラップの封水が失われる原因になる。45°以内の角度で水平に近く合流させれば、排水は横枝管の流れに沿って円滑に合流する。
  6. (4) 給水管・排水管などが防火区画(ここでは1時間耐火構造の床)を貫通する場合、管と区画とのすき間はモルタルその他の不燃材料で埋める(建築基準法施行令第112条、本試験当時は第15項)。図はこの点は満たしている。さらに管自体について、施行令第129条の2の5第1項第七号(本試験当時。現行は第129条の2の4)の次のいずれかに適合させる必要がある。イ 貫通部とその両側1m以内を不燃材料で造る。ロ 管の外径が、用途・材質・肉厚に応じて国土交通大臣が定める数値(平成12年建設省告示第1422号)未満である。ハ 国土交通大臣の認定を受けたもの。
  7. 告示第1422号の表で、1時間の耐火性能が求められる区画を貫通する覆いのない硬質塩化ビニルの排水管は、肉厚6.6mm以上でも外径90mm未満に限られる。VP呼び径100は外径114mmなのでロに当たらず、モルタル充填だけでは不適切である。貫通部と両側1m以内を鋼管・排水用鋳鉄管などの不燃材料にするか、大臣認定を受けた耐火二層管・区画貫通工法を用いる。
引っかけ:(1) はアンカーボルトのダブルナットやねじ山の出しろは正しく、誤りは基礎と床スラブの一体化とアンカーボルトの緊結である。(2) はVDと消音エルボの上流・下流の順番。(3) は立面図の合流の向きは正しく、A−A'断面の60°が誤り。(4) はモルタルの充填はできていて、VP呼び径100が外径の基準を超えることが問題である。
現行法令との関係:(4) の根拠条文は、2019年6月施行の建築基準法施行令の改正で第129条の2の5から第129条の2の4に、すき間をモルタル等で埋める規定は第112条第15項から現行の第112条第20項に移った。また平成12年建設省告示第1422号は2025年7月4日の改正(令和7年国土交通省告示第509号)で、耐火二層管が所定の構造の床・壁を貫通する場合の外径が告示で定められた(第二)。1時間の区画を貫通する覆いのない硬質塩化ビニル管の外径の数値は変わっておらず、この問題の答えは変わらない。(1) の基礎施工要領は公共建築設備工事標準図(機械設備工事編)令和7年版でも同じである。

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出典:一般財団法人 全国建設研修センターが実施した1級管工事施工管理技士 第二次検定 平成28年度(2016年12月4日(日)実施) 問題1 設問1。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する