1級土木施工管理技士 第一次検定の頻出論点:重要度 A の 10 論点の要点と引っかけ
1級の第一次検定で毎年確実に出る論点は、土木一般の土工・コンクリート・基礎工と、問題 B(施工管理法)の施工計画・工程・品質・安全・環境です。この記事では、当サイトが平成 29 年度以降の過去問を集計して重要度 A とした 10 論点について、問われ方・覚える要点・典型的な引っかけを論点ごとにまとめます。
土木一般:土工・コンクリート・基礎工
土工(問題 A・問題 B)
問われるのは、土量の変化率、盛土材料と締固め、法面保護工、建設発生土の利用、TS・GNSS を使った情報化施工です。土量の変化率は L=ほぐした土量÷地山の土量、C=締め固めた土量÷地山の土量で、どちらも分母が地山です。C をほぐした土量との比と覚え違えると計算問題を落とします。盛土は 1 層の仕上り厚さが路体で 30cm 以下、路床で 20cm 以下で、敷均し厚さ(路体 35〜45cm、路床 25〜30cm)とは別の数字です。情報化施工は、締固め機械の走行回数で管理する工法規定方式に当たり、品質規定方式の現場密度試験を省略できることが利点です。引っかけは、「良質な材料は法尻へ」「厚く敷き均して早く乾燥」のように、もっともらしい理由を付けて逆のことを書く文です。
コンクリートの施工(問題 A・問題 B)
打込み・締固め・養生・打継ぎ・暑中と寒中コンクリートが毎年出ます。数字は、吐出口から打込み面までの高さ 1.5m 以下、1 層の高さ 40〜50cm 以下、内部振動機の挿入間隔 50cm 以下で下層に 10cm 程度差し込む、許容打重ね時間間隔は外気温 25℃ 以下で 2.5 時間・25℃ を超えると 2 時間、です。暑中コンクリートは日平均気温 25℃ を超えるときに適用し、打込み時の温度は 35℃ 以下。この「25℃」と「35℃」の入れ替えが定番の引っかけです。養生は湿潤状態を保つことが基本で、普通ポルトランドセメントで日平均気温 15℃ 以上なら 5 日、混合セメント B 種は 7 日と、セメントの種類と気温で変わります。打継目はレイタンスを取り除いて湿らせてから打ち継ぎ、乾燥させるのは誤りです。
基礎工・土留め(問題 A・応用能力)
既製杭の打込み工法と埋込み工法、場所打ち杭の 4 工法、直接基礎とケーソン、土留め工法の特徴が問われます。場所打ち杭は、孔壁を保つ方法で見分けます。オールケーシングはケーシングチューブ、リバースはスタンドパイプと静水圧(地下水位より 2m 以上高い孔内水位)、アースドリルは安定液、深礎は山留め材です。これらの資機材を工法間で入れ替えた選択肢が毎年のように出ます。土留めは、親杭横矢板は止水性がなく、鋼矢板は止水性があるがたわみが大きい、連続地中壁は剛性と止水性が高いが費用がかかる、と長所と短所をセットで覚えます。ヒービングは粘性土、ボイリングは砂質土で起こる現象です。
専門土木:鋼構造物と道路・舗装
鋼構造物
専門土木の中で最も安定して出るのが鋼橋です。問われるのは、高力ボルトの締付け(摩擦接合、中央から端に向かって締める、トルク法とナット回転法)、溶接(開先の清掃と乾燥、予熱、欠陥の種類)、溶接部の検査(表面のきずは磁粉探傷・浸透探傷、内部のきずは超音波探傷・放射線透過)、架設工法(ベント式・ケーブルクレーン式・送出し式・片持ち式の使い分け)、防食(素地調整した鋼面はかえって錆びやすいので速やかに塗装)です。引っかけは、「後から修正できるので」「照査を省略できる」のように、楽になる方向の理由付けを足した文で、そこだけが誤りというパターンです。
道路・舗装
路床・路盤の施工、アスファルト舗装の施工、補修工法が出ます。数字は、路床の 1 層の仕上り厚さ 20cm 以下、下層路盤の 1 層の仕上り厚さ 20cm 以下、上層路盤 15cm 以下。プライムコートは路盤の上に散布して路盤面を保護し、混合物となじませるもの、タックコートは混合物の層と層を接着するもので、散布する場所と目的が入れ替えられます。転圧は、継目転圧→初転圧(ロードローラ)→二次転圧(タイヤローラまたは振動ローラ)→仕上げ転圧の順で、ローラの種類の入れ替えが定番です。補修では、パッチングは混合物で穴を埋める、シール材注入はひび割れに注入する、と材料で区別し、橋面舗装で床版まで切削するような選択肢は誤りと判断します。
施工管理法:施工計画と工程管理
施工計画(問題 B・応用能力)
事前調査、仮設計画、施工体制台帳、建設機械の組合せ、関係機関への届出が問われます。届出の相手は、道路使用許可が所轄警察署、特殊車両の通行許可が道路管理者、と主体で覚えます。施工体制台帳は、公共工事では下請契約の金額にかかわらず作成し、民間工事では下請代金の総額が一定額以上のときに作成します。建設機械の組合せは、主作業の機械の能力を最大限に発揮させるように従作業の機械を選び、作業能力の算定には時間当たりの平均作業量を使います。「最大能率」と「平均能率」の入れ替えが定番の引っかけです。仮設備は工事目的物ではないので、品質管理計画ではなく安全確保の法令に合わせて計画します。
工程管理(問題 B・応用能力)
工程表の種類と特徴、ネットワーク工程表の計算が毎年出ます。バーチャートは作成が容易で各作業の所要日数は分かるが、作業の関連や工期に影響する作業(クリティカルパス)は分かりにくい、ネットワーク工程表はその逆、ガントチャートは横軸が達成度、グラフ式工程表は縦軸が出来高比率、と軸と長所・短所を対で覚えます。ネットワークの計算では、ダミー(点線の矢線)を見落として最早開始時刻やクリティカルパスを取り違えるのが典型的な誤りです。応用能力では「適当なものはいくつあるか」の形式で、工程管理の目的が「早く終わらせる」ではなく「品質・原価・安全を満たして工期内に経済的に完成させる」ことだという理解が問われます。
施工管理法:安全管理・品質管理・環境保全
安全管理(問題 B・応用能力)
問題 B の中で最も問題数が多く、応用能力でも必ず出ます。労働安全衛生法の数字が中心です。足場は、高さ 2m 以上の作業場所に作業床を設け(幅 40cm 以上、床材間の隙間 3cm 以下)、墜落防止に手すり(85cm 以上)と中さんを設置、組立て等作業主任者の選任は高さ 5m 以上。掘削は、高さ 2m 以上で地山の掘削作業主任者が必要。移動式クレーンの玉掛けは、つり上げ荷重 1t 以上で技能講習、1t 未満で特別教育。酸素欠乏は酸素濃度 18% 未満。安全衛生管理体制は、統括安全衛生責任者(元方)・元方安全衛生管理者(元方の技術的事項)・安全衛生責任者(下請)の組で覚えます。引っかけは、「2m」「5m」「1.5m(昇降設備)」のような近い数字の入れ替えと、「〜してはならない」という禁止の条文を「注意して行う」に書き換えた文です。
品質管理(問題 B・応用能力)
管理図とヒストグラム、品質規定方式と工法規定方式、コンクリートの受入れ検査、盛土・舗装の品質特性と試験方法が出ます。コンクリートの受入れ検査は、スランプの許容差(8〜18cm で ±2.5cm)、空気量 ±1.5%、塩化物イオン量 0.3kg/m³ 以下、圧縮強度は 1 回の試験結果が呼び強度の 85% 以上かつ 3 回の平均が呼び強度以上、と数字をセットで覚えます。「1 回でも呼び強度を下回ったら不合格」は誤りです。試験と品質特性は対で問われます(ベンケルマンビーム=たわみ、マーシャル=安定度、ラベリング=すり減り、RI 計器=密度と含水比)。管理図は、管理限界の内側にあっても、連・傾向・周期があれば異常とみます。かぶりは鉄筋の表面からコンクリート表面までの距離で、「中心から」と書かれていたら誤りです。
環境保全・建設副産物(問題 B)
騒音・振動対策、建設リサイクル法、廃棄物処理法が出ます。騒音・振動は発生源での対策が基本で、受音側の対策は最後の手段です。騒音規制法・振動規制法の特定建設作業は、作業開始の 7 日前までに市町村長へ届け出ます。建設リサイクル法の特定建設資材はコンクリート、コンクリートと鉄からなる建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの 4 つで、対象となる工事の規模(建築物の解体 80m² 以上、新築 500m² 以上、土木工事は請負代金 500 万円以上など)も問われます。要綱・法令の問題では、発注者・元請業者・自主施工者のどれが行うかを入れ替えた選択肢が定番です。建設発生土は廃棄物ではなく、現場内での利用が原則です。圧砕機は「はさむ」、ブレーカは「たたく」ので、騒音・振動はブレーカのほうが大きいという対比も繰り返し出ています。
この 10 論点の使い方
重要度 A の 10 論点のうち、施工計画・工程・安全・品質・環境の 5 つは問題 B の必須 35 問(うち応用能力 15 問)に直結し、応用能力の 60% という独自の合格基準を左右します。勉強の順番はこの 5 つが先です。土工・コンクリート・基礎工の 3 つは土木一般(15 問から 12 問)の大半を占め、鋼構造物と道路・舗装は専門土木で確実に選べる問題です。
各論点ページには、年度ごとの過去問と、解説から集めた「間違えやすい点」の一覧があります。この記事で要点を押さえたら、論点ページで実際の選択肢の文を読み、どの言葉が入れ替えられているかを確かめてください。重要度 B 以下の論点(力学、河川、法規の各法など)は過去問一覧の論点別から確認できます。
よくある質問
重要度 A はどうやって決めていますか?
当サイトが平成 29 年度以降の 1級 第一次検定の収録問題を論点ごとに集計し、ほぼ毎回出題されていて問題数も多い論点を A としています。主催者が公表している区分ではありません。
数字はどこまで覚える必要がありますか?
この記事に挙げた数字(足場の寸法、コンクリートの打込み・養生の数値、受入れ検査の許容差、作業主任者の選任基準など)は、選択肢の数字を入れ替えて正誤を問う形で繰り返し出ているので、そのまま覚えてください。それ以外の細かい数字は、過去問で出たものだけで足ります。
専門土木は鋼構造物と道路だけで足りますか?
足りません。専門土木は 34 問から 10 問を選ぶので、河川・コンクリート構造物・トンネル・上下水道など、重要度 B の論点から自分の担当分野を 2〜3 つ足して 10 問を確保してください。
2級とは論点が違いますか?
論点はほぼ同じですが、2級は鋼構造物・工程管理・環境保全が重要度 B で、問われる深さも浅くなります。2級の頻出論点は別の記事にまとめています。
あわせて読む
出典・参考:出題実績は資格試験対策.netが平成29年度〜令和8年度の収録問題を集計したもの。要点は一般財団法人 全国建設研修センターが公表した試験問題と正答、コンクリート標準示方書、道路土工指針、労働安全衛生法令をもとに当サイトがまとめた
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