平成29年度 問題B No.14問題改訂論点:安全管理重要度 A配点 1点未着手

注文者としての足場の安全措置義務

これは1級土木施工管理技士 第一次検定 平成29年度(2017年7月2日(日)実施) 問題B No.14の問題です。論点は「安全管理」(重要度A・解答の形は四肢択一)。採点すると、解き方 4 手順・選択肢 4 つそれぞれの解説・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。この問題は、本試験の問題を2026年9月時点の法令・基準に照らして一部改訂したものです。

問題改訂労働安全衛生法第31条(注文者の講ずべき措置)の読み方で正答が 2 つにならないよう選択肢(3)を改訂。本試験の問題を2026年9月時点の法令・基準に照らして一部変えています。改訂の内容と本試験の原文は、採点後の解説に載せています。

下図に示す施工体制の現場において,A社がB社に組み立てさせた作業足場でB社,C社,D社が作業を行い,E社はC社が持ち込んだ移動式足場で作業を行うこととなった。特定事業の仕事を行う注文者として積載荷重の表示,点検等の安全措置義務に関する次の記述のうち,労働安全衛生法令上,正しいものはどれか。

施工体制図。発注者 ― 特定元方事業者A社。A社の下に一次下請B社と一次下請C社。C社の下に二次下請D社と二次下請E社。

解答欄

選択肢を 1 つ選んで「採点する」を押してください。

正解

正解:(1) A社は,作業足場について,B社,C社,D社に対し注文者としての安全措置義務を負う。

解き方

  1. 労働安全衛生法第31条第1項により、特定事業(建設業・造船業)の仕事を自ら行う注文者は、足場などの建設物等を、その仕事を行う場所で請負人(数次の請負では後次のすべての請負人を含む)に係る作業従事者に使用させるときは、労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。足場については労働安全衛生規則第655条で、作業床の最大積載荷重を定めて表示すること、悪天候・中震以上の地震や組立て・一部解体・変更の後に点検者を指名して作業開始前に点検させること、点検の結果などを記録・保存することが定められている。
  2. この義務を負うのは、建設物等を請負人の労働者に「使用させる」注文者で、元方事業者に限らず、下請でも自ら用意した建設物等を下位の請負人の労働者に使わせれば注文者として義務を負う。数次の請負で同一の建設物等について措置を講ずべき注文者が二以上あるときは、後次の注文者には適用されず、最先次の注文者だけが義務を負う(同条第2項)。
  3. 作業足場は A 社が B 社に組み立てさせたもので、A 社が B・C・D 社の労働者に使用させている。最先次の注文者である A 社が B・C・D 社に対し措置義務を負うので (1) が正しい。C 社は D 社の注文者だが、同じ作業足場について上位の注文者 A 社がいるので、第2項により C 社には適用されない((3) は誤り)。
  4. 移動式足場は C 社が持ち込んで E 社の労働者に使用させるので、C 社が E 社に対し注文者として措置義務を負う。移動式足場で作業するのは E 社の労働者なので、事業者としての措置は E 社が講じる((4) は誤り)。B 社は足場を組み立てたが、D 社との間に請負関係がなく D 社の注文者ではない((2) は誤り)。

選択肢ごとの解説

  1. (1)正しい。作業足場を B・C・D 社の労働者に使用させている最先次の注文者 A 社が措置義務を負う(法第31条第1項・第2項)。
  2. (2)誤り。B 社は足場を組み立てたが、D 社との間に請負関係がなく、D 社の注文者ではない。
  3. (3)誤り。C 社は D 社の注文者だが、同じ作業足場について最先次の注文者 A 社がいるので、第31条第2項により C 社には適用されない。
  4. (4)誤り。移動式足場を持ち込んで E 社の労働者に使用させる C 社は、注文者としての措置義務を負う。事業者としての措置は、足場を使う労働者を雇う E 社が講じる。
引っかけ:足場を組み立てた会社(B 社)が注文者の義務を負うと考えやすいが、義務を負うのは足場を請負人の労働者に使用させる注文者で、同じ足場を数次の請負で使うときは最先次の注文者に集まる(第31条第2項)。一方、下請(C 社)が自ら持ち込んだ移動式足場は、C 社が注文者として義務を負う。
現行法令との関係:労働安全衛生法第31条と労働安全衛生規則第655条は、2026年4月1日施行の改正(令和7年法律第33号、令和8年厚生労働省令第3号)で、対象が「請負人の労働者」から「請負人に係る作業従事者」(一人親方など労働者以外を含む)に広がった。また第655条の点検は、2023年10月1日施行の改正(令和5年厚生労働省令第22号)で点検者を指名して行わせ、記録に点検者の氏名を加えることになった。

問題改訂の内容

本試験の (3) は「A社は,C社が持ち込んだ移動式足場について,E社に対し注文者としての安全措置義務を負わない。」だった。第31条第1項の措置を講ずべき注文者は、建設物等を請負人(数次の請負では後次のすべての請負人を含む)の労働者に使用させる注文者で、解釈例規(昭和39年11月6日基発第1251号)は、元方事業者に限らずこの要件を満たす請負人も義務を負い、建設物等を順次下位の請負人の労働者に使用させる関係では最も上位の注文者が義務を負うとしている。C社が持ち込んでE社の労働者に使用させる移動式足場では、この注文者はC社で、A社は使用させる立場にないと読めるので、(3) も正しくなり、正答が (1)(3) の 2 つになるおそれがある。法令の改正によるものではなく出題時からの規定で、2026年4月1日施行の改正(対象が「請負人の労働者」から「請負人に係る作業従事者」に広がった)の後も同じである。正答が 2 つにならないよう、(3) を第31条第2項(同一の建設物等について注文者が二以上あるときは後次の注文者には適用しない)で誤りと分かる「C社は,作業足場について,D社に対し注文者としての安全措置義務を負う。」に改めた。正答は本試験と同じ (1)。

  • 労働安全衛生法 第31条(2026年4月1日施行)
  • 労働安全衛生規則 第655条(2026年4月1日施行)
本試験の原文(改訂前)を見る
  1. (1)A社は,作業足場について,B社,C社,D社に対し注文者としての安全措置義務を負う。
  2. (2)B社は,自社が組み立てた作業足場について,D社に対し注文者として安全措置義務を負う。
  3. (3)A社は,C社が持ち込んだ移動式足場について,E社に対し注文者としての安全措置義務を負わない。
  4. (4)C社は,移動式足場について,事業者としての必要措置を行わなければならないが,注文者としての安全措置義務を負わない。

本試験の正答:(1)

改訂は資格試験対策.netが行ったもので、主催者によるものではありません。2026年9月時点の法令・基準にもとづきます。

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出典:一般財団法人 全国建設研修センターが実施した1級土木施工管理技士 第一次検定 平成29年度(2017年7月2日(日)実施) 問題B No.14。現行の法令・基準に照らして一部を改訂しています(本試験の原文は解説の「問題改訂の内容」)。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する