令和8年度 問題B No.7問題改訂論点:安全管理重要度 A配点 1点未着手

注文者の安全措置義務(作業足場・移動式足場)

これは1級土木施工管理技士 第一次検定 令和8年度(2026年7月5日(日)実施) 問題B No.7の問題です。論点は「安全管理」(重要度A・解答の形は四肢択一)。採点すると、解き方 5 手順・選択肢 4 つそれぞれの解説・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。この問題は、本試験の問題を2026年9月時点の法令・基準に照らして一部改訂したものです。

問題改訂労働安全衛生法第31条(注文者の講ずべき措置)に照らして正答が 2 つにならないよう選択肢(2)を改訂。本試験の問題を2026年9月時点の法令・基準に照らして一部変えています。改訂の内容と本試験の原文は、採点後の解説に載せています。

下図に示す施工体制の現場において,A社がB社に組み立てさせた作業足場でB社,C社,D社,F社,G社が作業を行い,E社はC社が持ち込んだ移動式足場でも作業を行うこととなった。労働安全衛生法令上,特定事業の仕事を行う注文者として積載荷重の表示,点検等の安全措置義務に関する記述のうち,正しいものはどれか。

施工体制の図。発注者の下に,特定元方事業者A社と特定元方事業者F社がある。A社の下に一次下請B社と一次下請C社があり,C社の下に二次下請D社と二次下請E社がある。F社の下に一次下請G社がある。

解答欄

選択肢を 1 つ選んで「採点する」を押してください。

正解

正解:(1) A社は,作業足場について,B社,C社,D社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負う。

解き方

  1. 労働安全衛生法第31条第1項により、特定事業(建設業・造船業)の仕事を自ら行う注文者は、足場などの建設物等を、その請負人(数次の請負では後次の全ての請負人を含む)に係る作業従事者に使用させるときは、労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。足場については労働安全衛生規則第655条(「注文者」は第644条で法第31条第1項の注文者と定める)で、作業床の最大積載荷重を定めて表示すること、悪天候・中震以上の地震や組立て・一部解体・変更の後に点検者を指名して点検させ、結果と点検者の氏名を記録・保存すること、足場の基準に適合させることなどを定めている。移動式足場も足場なので対象になる。
  2. 義務を負うのは、その足場を請負人に使用させる注文者である。同じ足場を上位の注文者から順に下位の請負人に使用させる関係にあるときは、措置を講ずべき注文者が 2 以上になるが、同条第2項により後次の注文者には適用されず、最も先次の注文者だけが義務を負う(行政解釈:昭和39年11月6日基発第1251号)。足場を組み立てた会社かどうかや、元請かどうかで決まるのではない。
  3. 作業足場は、A社がB社に組み立てさせ、B社・C社・D社に使用させるものなので、最も先次の注文者A社がB社・C社・D社の労働者に対して措置義務を負う。よって (1) が正しい。C社はD社の注文者でもあるが、同じ作業足場については後次の注文者なので、第2項により義務を負わない。(2) は誤りである。
  4. F社は発注者から直接請け負った別の特定元方事業者で、G社はその請負人である。どちらもA社の請負人ではないので、同じ作業足場で作業していても、A社はF社・G社の労働者に対し注文者としての義務を負わない。(4) は誤りである。
  5. 移動式足場は、C社が持ち込んで自らの請負人E社の労働者に使用させるものなので、C社が注文者として措置義務を負う。(3) は誤りである。A社はこの移動式足場を使用させる者ではないので、これについて注文者の義務は負わない。本試験の (2) は「A社は,C社が持ち込んだ移動式足場について,E社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負わない。」で、文言どおりでは正しくなり正答が 2 つになるため、第2項を問う文に改めている。

選択肢ごとの解説

  1. (1)正しい。作業足場をB社・C社・D社の労働者に使用させる最も先次の注文者A社が、最大積載荷重の表示や点検などの措置義務を負う。
  2. (2)誤り。C社はD社の注文者だが、同じ作業足場については後次の注文者なので、第31条第2項により義務を負わない。義務を負うのは最も先次の注文者A社である。
  3. (3)誤り。移動式足場を持ち込み、自らの請負人E社の労働者に使用させるC社は、注文者として措置義務を負う。
  4. (4)誤り。F社・G社は別の特定元方事業者F社の系列でA社の請負人ではなく、同じ作業足場で作業していてもA社の注文者としての義務は及ばない。
引っかけ:義務を負う注文者は「その足場を請負人に使用させる者」と請負関係で決まる。同じ足場を順に下位の請負人に使用させるときは最も先次の注文者だけが負い(第31条第2項)、C社はD社の注文者でも作業足場については負わない。下請が自ら持ち込んで自らの請負人に使用させる足場(C社の移動式足場)はその下請が負い、同じ足場で作業していても別の元方事業者の系列(F社・G社)には及ばない。
現行法令との関係:労働安全衛生法第31条は2026年4月1日施行の改正(令和7年法律第33号)で、注文者が措置を講ずる対象が「請負人の労働者」から「請負人に係る作業従事者」(労働者と同じ場所で作業する一人親方など労働者以外の者を含む)に改められ、労働安全衛生規則第644条・第655条も同日施行の改正(令和8年厚生労働省令第3号)で同じ表現になった。義務を負う注文者の定め(第31条第1項の「使用させる」注文者、第2項の最も先次の注文者)は変わっておらず、改訂後の問題の答えは変わらない。

問題改訂の内容

本試験の (2) は「A社は,C社が持ち込んだ移動式足場について,E社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負わない。」だった。労働安全衛生法第31条第1項で措置を講ずべき注文者は、足場などの建設物等をその請負人に使用させる注文者であり、同条第2項で最も先次の注文者だけが義務を負うのは、同じ建設物等を上位の注文者から順に下位の請負人に使用させる関係にある場合である(行政解釈:昭和39年11月6日基発第1251号)。C社が持ち込み、自らの請負人E社に使用させる移動式足場は、A社が使用させるものではないので、注文者として措置義務を負うのはC社で、A社は負わない。このため本試験の文のままでは (1) のほかに (2) も正しくなり、正答が 2 つになる(主催者の正答は (1) だけで、移動式足場についてA社も義務を負うとする扱いとみられる)。法令の改正によるものではなく、出題時の規定(2026 年 4 月 1 日施行の改正で措置の対象が「請負人に係る作業従事者」に広がった後の規定)でもこのとおりである。正答が 1 つに決まるよう、(2) を第31条第2項で誤りとなる「C社は,作業足場について,D社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負う。」に改めた。同じ施工体制の平成29年度・平成30年度・令和元年度の問題も同じように改訂している。正答は本試験と同じ (1)。

  • 労働安全衛生法 第31条
  • 労働安全衛生規則 第644条・第655条
本試験の原文(改訂前)を見る
  1. (1)A社は,作業足場について,B社,C社,D社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負う。
  2. (2)A社は,C社が持ち込んだ移動式足場について,E社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負わない。
  3. (3)C社は,移動式足場について,E社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負わない。
  4. (4)A社は,作業足場について,F社,G社の労働者に対し注文者としての安全措置義務を負う。

本試験の正答:(1)

改訂は資格試験対策.netが行ったもので、主催者によるものではありません。2026年9月時点の法令・基準にもとづきます。

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出典:一般財団法人 全国建設研修センターが実施した1級土木施工管理技士 第一次検定 令和8年度(2026年7月5日(日)実施) 問題B No.7。現行の法令・基準に照らして一部を改訂しています(本試験の原文は解説の「問題改訂の内容」)。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する