第36回 第3問 問2論点:工事別原価計算表重要度 A配点 18点未着手

工事別原価計算表(予定賃率・直接原価基準の工事間接費予定配賦・配賦差異の月末残高)

これは建設業経理士2級 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第3問 問2(配点 18点)の問題です。論点は「工事別原価計算表」(重要度A・解答の形は金額+記号/表)。採点すると、解き方 8 手順・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。

次の<資料>により、解答用紙の「工事別原価計算表」を完成しなさい。また、工事間接費配賦差異の月末残高を計算しなさい。なお、その残高が借方の場合は「A」、貸方の場合は「B」を、解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

1. 当月は、繰越工事である No.101 と No.102、及び当月に着手した No.201 と No.202 を施工し、月末には No.101 と No.201 が完成した。いずれも工事完成基準により収益を認識している。

2. 前月から繰り越した工事原価に関する各勘定の前月繰越高は、次のとおりである。(1) 未成工事支出金は下表。(2) 工事間接費配賦差異 ¥4,500(貸方残高)。(注)工事間接費配賦差異は月次においては繰り越すこととしている。

3. 労務費に関するデータ:(1) 労務費計算は予定賃率を用いており、当会計期間の予定賃率は1時間当たり ¥1,200 である。(2) 当月の直接作業時間 No.101 102時間 No.102 132時間 No.201 211時間 No.202 285時間

4. 当月に発生した工事直接費は下表のとおり(労務費は資料により各自計算)。

5. 工事間接費の配賦方法と実際発生額:(1) 工事間接費については直接原価基準による予定配賦法を採用している。(2) 当会計期間の直接原価の総発生見込額は ¥68,000,000 である。(3) 当会計期間の工事間接費予算額は ¥3,400,000 である。(4) 工事間接費の当月実際発生額は ¥314,000 である。(5) 工事間接費はすべて経費である。

前月繰越 未成工事支出金(単位:円)No.101No.102
材料費123,000321,000
労務費112,000234,000
外注費472,000760,000
経費96,000122,000
当月発生 工事直接費(単位:円)No.101No.102No.201No.202
材料費289,000362,000396,000487,000
労務費(各自計算)(各自計算)(各自計算)(各自計算)
外注費452,000674,0001,130,000769,000
直接経費111,000187,000132,000221,000

解答欄

工事別原価計算表(単位:円)
摘要No.101No.102No.201No.202計
月初未成工事原価――――
当月発生工事原価
材料費
労務費
外注費
直接経費
工事間接費
当月完成工事原価――――
月末未成工事原価――――
円
A=借方残高、B=貸方残高

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

工事別原価計算表(単位:円)
摘要No.101No.102No.201No.202計
月初未成工事原価803,0001,437,000――――2,240,000
当月発生工事原価
材料費289,000362,000396,000487,0001,534,000
労務費122,400158,400253,200342,000876,000
外注費452,000674,0001,130,000769,0003,025,000
直接経費111,000187,000132,000221,000651,000
工事間接費48,72069,07095,56090,950304,300
当月完成工事原価1,826,120――2,006,760――3,832,880
月末未成工事原価――2,887,470――1,909,9504,797,420
工事間接費配賦差異月末残高5,200 円
記号A

解き方

  1. 月初未成工事原価:No.101 = 123,000 + 112,000 + 472,000 + 96,000 = 803,000。No.102 = 321,000 + 234,000 + 760,000 + 122,000 = 1,437,000。計 2,240,000。
  2. 労務費 = 予定賃率 1,200 × 直接作業時間。No.101 = 1,200 × 102 = 122,400。No.102 = 1,200 × 132 = 158,400。No.201 = 1,200 × 211 = 253,200。No.202 = 1,200 × 285 = 342,000。計 876,000。
  3. 工事間接費の予定配賦率 = 3,400,000 ÷ 68,000,000 = 5%(直接原価基準)。直接原価 = 材料費 + 労務費 + 外注費 + 直接経費。
  4. 各工事の直接原価:No.101 = 289,000 + 122,400 + 452,000 + 111,000 = 974,400。No.102 = 362,000 + 158,400 + 674,000 + 187,000 = 1,381,400。No.201 = 396,000 + 253,200 + 1,130,000 + 132,000 = 1,911,200。No.202 = 487,000 + 342,000 + 769,000 + 221,000 = 1,819,000。
  5. 工事間接費(予定配賦額):No.101 = 974,400 × 5% = 48,720。No.102 = 1,381,400 × 5% = 69,070。No.201 = 1,911,200 × 5% = 95,560。No.202 = 1,819,000 × 5% = 90,950。計 304,300。
  6. 当月完成工事原価(No.101・No.201):No.101 = 803,000 + 974,400 + 48,720 = 1,826,120。No.201 = 1,911,200 + 95,560 = 2,006,760。計 3,832,880。
  7. 月末未成工事原価(No.102・No.202):No.102 = 1,437,000 + 1,381,400 + 69,070 = 2,887,470。No.202 = 1,819,000 + 90,950 = 1,909,950。計 4,797,420。
  8. 当月の配賦差異 = 予定配賦額 304,300 − 実際発生額 314,000 = −9,700(借方差異)。前月繰越の貸方残高 4,500 と相殺して、月末残高 = 9,700 − 4,500 = 5,200 の借方残高 → A。
引っかけ:直接原価基準なので配賦基準は「材料費+労務費+外注費+直接経費」の合計。材料費だけや労務費だけで配賦しない。配賦差異の月末残高は当月分(借方 9,700)に前月繰越(貸方 4,500)を加減して求める。当月分だけを答えると 9,700 になり誤り。
現行基準との関係:「工事完成基準」は廃止された「工事契約に関する会計基準」の用語で、現行の「収益認識に関する会計基準」(2021年4月1日以後開始する事業年度から適用)では原則として認められず、工期がごく短い工事に限って完成・引渡時に収益を認識する代替的な取扱いが残っているにすぎない。本問は工事原価の集計だけを問うので、完成した工事の原価を完成工事原価に、未完成の工事の原価を未成工事支出金(月末未成工事原価)に振り分ける手順は収益認識の方法にかかわらず同じになる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第3問 問2。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する