第33回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(現金過不足・棚卸減耗・仮払金と仮受金の整理・減価償却の予定計上・有価証券の評価・引当金3種・法人税等)

これは建設業経理士2級 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 16 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は1年である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 期末における現金の帳簿残高は ¥19,800 であるが、実際の手許有高は ¥18,400 であった。原因を調査したところ、本社において事務用文房具 ¥800 を現金購入していたが未処理であることが判明した。それ以外の原因は不明である。

仕訳 (1)
借方貸方

(2) 材料貯蔵品の期末実地棚卸により、棚卸減耗損 ¥1,000 が発生していることが判明した。棚卸減耗損については全額工事原価として処理する。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥3,000 は本社事務員の出張仮払金であった。精算の結果、実費との差額 ¥500 が本社事務員より現金にて返金された。② ¥25,000 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)①
借方貸方

(4) 減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引はない。① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥56,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥4,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価に加減する。② 備品(本社用) 以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価 ¥90,000、残存価額 ゼロ、耐用年数 3年、減価償却方法 定額法。

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方

(5) 有価証券(売買目的で所有)の期末時価は ¥153,000 である。

仕訳 (5)
借方貸方

(6) 仮受金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥7,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。② ¥21,000 は当期末において着工前の工事に係る前受金である。

仕訳 (6)①
借方貸方
仕訳 (6)②
借方貸方

(7) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 退職給付引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥2,800、現場作業員について ¥8,600 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥132,000 である。

仕訳 (10)
借方貸方

(11) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (11)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金19,800
当座預金214,500
受取手形112,000
完成工事未収入金565,000
貸倒引当金7,800
有価証券171,000
未成工事支出金213,500
材料貯蔵品2,800
仮払金28,000
機械装置300,000
機械装置減価償却累計額162,000
備品90,000
備品減価償却累計額30,000
支払手形43,200
工事未払金102,500
借入金238,000
未払金124,000
未成工事受入金89,000
仮受金28,000
完成工事補償引当金24,100
退職給付引当金113,900
資本金100,000
繰越利益剰余金185,560
完成工事高12,300,000
完成工事原価10,670,800
販売費及び一般管理費1,167,000
受取利息配当金23,400
支払利息17,060
13,571,46013,571,460
事務用消耗品費
旅費交通費
雑損失
備品減価償却費
有価証券評価損
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金19,8005001,40018,900
当座預金214,500214,500
受取手形112,000112,000
完成工事未収入金565,0007,000558,000
貸倒引当金7,8002408,040
有価証券171,00018,000153,000
未成工事支出金213,50012,10093,600132,000
材料貯蔵品2,8001,0001,800
仮払金28,00028,000
機械装置300,000300,000
機械装置減価償却累計額162,0002,000164,000
備品90,00090,000
備品減価償却累計額30,00030,00060,000
支払手形43,20043,200
工事未払金102,500102,500
借入金238,000238,000
未払金124,000124,000
未成工事受入金89,00021,000110,000
仮受金28,00028,000
完成工事補償引当金24,10050024,600
退職給付引当金113,90011,400125,300
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金185,560185,560
完成工事高12,300,00012,300,000
完成工事原価10,670,80093,60010,764,400
販売費及び一般管理費1,167,0001,167,000
受取利息配当金23,40023,400
支払利息17,06017,060
13,571,46013,571,460
事務用消耗品費800800
旅費交通費2,5002,500
雑損失600600
備品減価償却費30,00030,000
有価証券評価損18,00018,000
貸倒引当金繰入額240240
退職給付引当金繰入額2,8002,800
未払法人税等71,00071,000
法人税、住民税及び事業税96,00096,000
285,140285,14012,099,40012,323,4001,580,2001,356,200
当期純利益224,000224,000
12,323,40012,323,4001,580,2001,580,200

決算整理仕訳

借方貸方
(1)
事務用消耗品費800
雑損失600
現金1,400
(2)
未成工事支出金1,000
材料貯蔵品1,000
(3)①
旅費交通費2,500
現金500
仮払金3,000
(4)①
未成工事支出金2,000
機械装置減価償却累計額2,000
(4)②
備品減価償却費30,000
備品減価償却累計額30,000
(5)
有価証券評価損18,000
有価証券18,000
(6)①
仮受金7,000
完成工事未収入金7,000
(6)②
仮受金21,000
未成工事受入金21,000
(7)
貸倒引当金繰入額240
貸倒引当金240
(8)
未成工事支出金500
完成工事補償引当金500
(9)
退職給付引当金繰入額2,800
未成工事支出金8,600
退職給付引当金11,400
(10)
完成工事原価93,600
未成工事支出金93,600
(11)
法人税、住民税及び事業税96,000
仮払金25,000
未払法人税等71,000

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計で1つの欄に書く(未成工事支出金の借方は 1,000 + 2,000 + 500 + 8,600 = 12,100、仮受金の借方は 7,000 + 21,000 = 28,000、現金は借方 500・貸方 1,400)。
  2. 残高試算表に整理記入を加減して、資産・負債・純資産は貸借対照表へ、収益・費用は損益計算書へ移す。整理記入の合計は借方・貸方とも 285,140 になる。
  3. (1) 帳簿残高 19,800 − 実際有高 18,400 = 1,400 の不足。うち 800 は文房具の購入(事務用消耗品費)、残り 600 は原因不明なので雑損失。 〔借方〕事務用消耗品費 800・雑損失 600 /〔貸方〕現金 1,400
  4. (2) 棚卸減耗損 1,000 は全額工事原価なので、材料貯蔵品を減らして未成工事支出金に振り替える。 〔借方〕未成工事支出金 1,000 /〔貸方〕材料貯蔵品 1,000
  5. (3)① 出張仮払金 3,000 のうち実費 2,500 を旅費交通費に、返金 500 を現金に振り替える。残りの仮払金 25,000 は法人税等の中間納付額で、(11) で充当する。 〔借方〕旅費交通費 2,500・現金 500 /〔貸方〕仮払金 3,000
  6. (4)① 機械装置の予定計上額 4,500 × 12か月 = 54,000。実際発生額 56,000 との差額 2,000 は計上不足なので、未成工事支出金(工事原価)に加える。 〔借方〕未成工事支出金 2,000 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 2,000
  7. (4)② 備品(本社用)の減価償却費 = 90,000 ÷ 3年 = 30,000。指定科目の備品減価償却費で計上する。 〔借方〕備品減価償却費 30,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 30,000
  8. (5) 売買目的有価証券の帳簿価額 171,000 − 時価 153,000 = 18,000 の評価損。 〔借方〕有価証券評価損 18,000 /〔貸方〕有価証券 18,000
  9. (6)① 前期完成工事の未収代金の回収分なので、完成工事未収入金 7,000 を減らす。 〔借方〕仮受金 7,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 7,000
  10. (6)② 着工前の工事の前受金 21,000 は未成工事受入金へ振り替える。 〔借方〕仮受金 21,000 /〔貸方〕未成工事受入金 21,000
  11. (7) (6)① 整理後の売上債権 = 受取手形 112,000 + 完成工事未収入金 558,000 = 670,000。670,000 × 1.2% = 8,040。残高 7,800 との差額 240 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 240 /〔貸方〕貸倒引当金 240
  12. (8) 完成工事高 12,300,000 × 0.2% = 24,600。残高 24,100 との差額 500。工事原価なので未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 500 /〔貸方〕完成工事補償引当金 500
  13. (9) 本社事務員分 2,800 は退職給付引当金繰入額(指定科目)、現場作業員分 8,600 は未成工事支出金。貸方は合計 11,400 を退職給付引当金に。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 2,800・未成工事支出金 8,600 /〔貸方〕退職給付引当金 11,400
  14. (10) 整理後の未成工事支出金 = 213,500 + 1,000 + 2,000 + 500 + 8,600 = 225,600。次期繰越額 132,000 を残し、差額 93,600 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 93,600 /〔貸方〕未成工事支出金 93,600
  15. (11) 税引前当期純利益 320,000 × 30% = 96,000。中間納付額(仮払金の残り 25,000)を充当し、残り 71,000 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 96,000 /〔貸方〕仮払金 25,000・未払法人税等 71,000(税引前当期純利益 320,000)
  16. 損益計算書の貸方合計 12,323,400 − 借方合計 12,099,400 = 当期純利益 224,000。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:(1) の現金不足 1,400 のうち原因が判明した 800 だけを事務用消耗品費にし、残り 600 を雑損失にする(全額を雑損失にしない)。(3)① の返金 500 は現金の借方に入るので、現金の整理記入は借方 500・貸方 1,400 の両方になる。(7) の売上債権は (6)① で完成工事未収入金が 7,000 減った後の 558,000 で計算する。(4)① は実際発生額 56,000 ではなく予定計上額との差額 2,000 だけを整理記入する。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する