貸借対照表上の資産概念(換金可能価値説・前払費用説・経済的便益説・概念フレームワーク)
これは建設業経理士1級 財務諸表 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第2問(配点 14点)の問題です。論点は「資産の概念・分類」(重要度B・解答の形は記号(ア〜チ/ア〜ネ)を空欄 7 個に記入)。採点すると、解き方 3 手順・引っかけの指摘が読めます。
貸借対照表上の資産概念に関する次の文中の【 】の中に入れるべき最も適当な用語を下記の<用語群>の中から選び、その記号(ア〜チ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。
貸借対照表上の資産概念は、会計の目的によって様々に規定され、それらには【1】可能価値説、前払【2】説、経済的【3】説がある。
【1】可能価値説によると、企業会計上の資産とは、現金に換えられる能力をもつ財貨・用役を指す。棚卸資産あるいは固定資産といった諸資産は、最終的に売却等により【1】されることをもって資産性が認められる。一般に理解しやすい概念であるが、この説によると、いわゆる【4】資産項目を貸借対照表の資産として計上する論拠はなくなってしまう。
前払【2】説によると、期間損益計算を重視する立場から、貸借対照表上の資産は、【1】性があるから資産性が認められるのではなく、それが利用されて【2】に転化するとき、その【2】を正しく把握するという立場で資産を考えることになる。このように考えると、【4】資産にも資産性が与えられるが、将来にわたり【2】に転化することがない、貸付金などの【5】資産の資産性が問題となる。
経済的【3】説もまた、会計の目的が期間損益の適正な算定にあるとの考えに立脚している。しかし、この説によると、会計上の資産とは、企業に経済的【3】を提供する能力を【6】的に有するものをいう。棚卸資産、固定資産、【5】資産等が企業に対して有用な経済的【3】を提供しうることは明白であるのみならず、【4】資産も将来に対して効果発現の期待をもたせうるという意味で資産性を有することになる。
わが国の「討議資料 財務会計の概念フレームワーク」では、「資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的【7】である。」と定義したうえで、【4】資産についても、「将来の【3】が期待できる」という条件の下に資産の定義に反しないとしている。
- <用語群>
- ア 負債 イ 公益 ウ 便益 エ 利益
- オ 換金 カ 交換 キ 金融 ク 消費性
- コ 潜在 サ 費用 シ 収益 ス 顕在
- セ 繰延 ソ 営業 タ 資金 チ 資源
解答欄
正解
| 空欄1 | オ |
|---|---|
| 空欄2 | サ |
| 空欄3 | ウ |
| 空欄4 | セ |
| 空欄5 | キ |
| 空欄6 | コ |
| 空欄7 | チ |
解き方
- 資産概念の 3 つの説は、換金可能価値説・前払費用説・経済的便益説。【1】は「現金に換えられる能力」「売却等により〜される」から換金(オ)。【2】は「利用されて〜に転化する」「前払〜説」から費用(サ)。【3】は「企業に経済的〜を提供する能力」から便益(ウ)。
- 換金可能価値説では、換金できないもの、すなわち繰延(セ)資産【4】を資産に計上する論拠がなくなる。逆に前払費用説では、将来にわたり費用に転化することがない貸付金などの金融(キ)資産【5】の資産性が問題になる。「貸付金などの〜資産」「棚卸資産、固定資産、〜資産等」の並びから金融資産を選ぶ。
- 経済的便益説では、経済的便益を提供する能力を潜在(コ)的に有するもの【6】が資産になる。概念フレームワークの定義は「過去の取引または事象の結果として報告主体が支配している経済的資源(チ)」【7】。経済的資源とはキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいう。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務諸表 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する