施工計画時の検討(示された工事概要:新築・解体・改修から1つ)
これは2級建築施工管理技士 第二次検定 令和6年度(2024年11月24日(日)実施) 問題1の問題です。論点は「施工経験記述」(重要度A・解答の形は記述)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。
建築工事の現場を管理していく上で,施工計画時におけるあなたの考えについて,今日までの経験を踏まえ,次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,建築工事には,建築設備工事は含まれないものとする。
1. あなたの受検種別に係る工種の作業において,下に示す〔施工計画時の検討事項〕及び①から③の各問いの内容を確認した上で,1),2)の手順に従って答えなさい。
1) 3ページ,4ページに示す工事概要イ「新築」,ロ「解体」又はハ「改修」の3つの建築工事の中からいずれか1つ選び,解答用紙の「選んだ工事概要」欄の該当する工事概要を○で囲みなさい。
2) 選んだ工事概要の工事を行う上で必要と考えられる作業内容で,〔施工計画時の検討事項〕aからcの各視点について,それぞれ①から③を具体的に記述しなさい。
ただし,①の工種名又は作業名等は同一でもよいが,②及び③はすべて異なる内容を記述するものとする。
なお,選んだ工事を行う上で,施工上必要としない工事及び作業に関する内容についての記述は不可とする。
〔施工計画時の検討事項〕
a 施工又は作業の方法
b 資材の取扱い方法(搬出入,揚げ降ろし,保管,仮置き等)
c 施工中又は施工後の養生の方法(ただし,労働者の安全に関する養生は除く)
① 工種名又は作業名等
② 検討すべき作業内容とその作業における懸念事項
③ ②の懸念事項に対する対策
2. 1.で選んだ建築工事及びあなたの受検種別に係わらず,施工計画時における「品質低下」及び「公衆災害」の防止について,それぞれ①及び②を具体的に記述しなさい。
ただし,1.と同じ内容の記述は不可とする。
なお,ここで言う公衆災害とは,当該工事の関係者以外の第三者(公衆)の生命,身体及び財産に関する危害並びに迷惑をいう。
① 品質低下及び公衆災害を防止するため,施工計画時に検討することとその理由
② 品質低下及び公衆災害を防止するための対策と実施に当たって留意すべき事項
〔工事概要イ「新築」〕工事内容:鉄筋コンクリート構造 共同住宅 新築工事 工期:2024年1月~2024年12月
〔工事概要ロ「解体」〕工事内容:鉄筋コンクリート構造 共同住宅 解体工事(全面解体,杭引抜き共) 工期:2024年1月~2024年5月
以下,工事概要イ「新築」及びロ「解体」の共通の工事概要(表1)
※敷地周辺は戸建て住宅やマンションが立ち並ぶ住宅街で,敷地北側に幅員6mの道路が接する。
〔工事概要ハ「改修」〕(表2)
※以下の概要は,改修前の既存の建物状況を示す。なお,改修後の下地及び表面仕上げは自由に設定してよい。
※表面仕上げのみのやり替え,下地共撤去復旧のどちらの工法でも可とする(建具更新も含む)。部屋の模様替えも可とするが,構造体の改修は不可とする。
※工事期間中は,居住者不在とする。
※敷地周辺は戸建て住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街で,敷地北側に幅員5mの道路が接する。
(表中「○+△+□」は○下地の上△面に□仕上げ等,下地と表面仕上げの関係を示す。)
(EP-G:つや有り合成樹脂エマルションペイント,SOP:合成樹脂調合ペイント)
| 区分 | 部位・項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 概要 | 主要用途 | 共同住宅 20戸(5LDK) |
| 概要 | 面積 | 敷地面積 2,350.00m²,建築面積 900.00m²,延床面積 2,800.00m² |
| 概要 | 主要構造 | 鉄筋コンクリート構造 地上4階建て,風除室 一部鉄骨構造 |
| 概要 | 最高高さ | 13.4m |
| 概要 | 階高 | 3.0m |
| 概要 | エレベーター | 乗用 6人乗り 1台 |
| 概要 | 根切深さ | 1.2m |
| 概要 | 地業 | 既製コンクリート杭(PHC杭) |
| 概要 | コンクリート | 普通コンクリート |
| 概要 | 型枠 | コンクリート型枠用合板 |
| 概要 | 鉄筋 | 柱,梁主筋:ガス圧接継手 |
| 構内舗装 | 駐車場 | アスファルト舗装 |
| 構内舗装 | 自転車置場 | コンクリート舗装 |
| 構内舗装 | アプローチ | インターロッキング舗装 |
| 主な外部仕上げ | 屋根 陸屋根 | アスファルト露出断熱防水,アルミ製笠木 |
| 主な外部仕上げ | 屋根 風除室 | ウレタン系塗膜防水 |
| 主な外部仕上げ | 外壁 主な外壁 | コンクリート打放し+防水形複層塗材 |
| 主な外部仕上げ | 外壁 断熱 | 内断熱工法,現場発泡断熱材吹付け |
| 主な外部仕上げ | 床 廊下,階段 | モルタル下地+ビニル床シート |
| 主な外部仕上げ | 床 バルコニー | モルタル下地+ウレタン系塗膜防水 |
| 主な外部仕上げ | 建具 風除室 | ステンレス製自動扉,強化ガラス共 |
| 主な外部仕上げ | 建具 玄関 | 化粧シート張り鋼製扉 |
| 主な外部仕上げ | 建具 窓 | アルミ製サッシ,複層ガラス共 |
| 主な内部仕上げ | 床 居室 | 乾式二重床+フローリングボード |
| 主な内部仕上げ | 床 水廻り | 乾式二重床+耐水合板+ビニル床シート |
| 主な内部仕上げ | 床 エントランス,風除室 | モルタル下地+ノンスリップタイル |
| 主な内部仕上げ | 壁 居室 | 軽量鉄骨下地+せっこうボード+ビニルクロス |
| 主な内部仕上げ | 壁 水廻り | 軽量鉄骨下地+シージングせっこうボード+ビニルクロス |
| 主な内部仕上げ | 壁 エントランス,風除室 | コンクリート打放し+有機系接着剤による小口タイル |
| 主な内部仕上げ | 天井 居室 | 軽量鉄骨下地+せっこうボード+ビニルクロス |
| 主な内部仕上げ | 天井 エントランス,風除室 | 軽量鉄骨下地+アルミスパンドレル |
| 主な内部仕上げ | 建具 居室 | 化粧シート張り木製扉 枠共 |
| 主な内部仕上げ | その他 水廻り | ユニットバス,洗面化粧台,システムキッチン |
| 主な内部仕上げ | その他 エントランス | 集合郵便受け |
| 区分 | 部位・項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 概要 | 工事内容 | 木構造 戸建て住宅 改修工事 |
| 概要 | 施工時期 | 2024年1月~2024年4月の期間内で着工及び完成 |
| 概要 | 主要用途 | 住宅(5LDK) |
| 概要 | 面積 | 敷地面積 100.50m²,建築面積 60.00m²,延床面積 120.00m² |
| 概要 | 主要構造 | 木構造 在来軸組工法 地上2階建て |
| 概要 | 最高高さ | 6.8m |
| 概要 | 階高 | 2.8m |
| 概要 | 基礎 | 布基礎 |
| 概要 | 駐車場 | 1台 コンクリート舗装 |
| 概要 | アプローチ | タイル舗装 |
| 概要 | 囲障 道路境界 | 鉄筋コンクリート腰壁の上化粧フェンス,アルミ製門扉 |
| 概要 | 囲障 敷地境界 | コンクリートブロック積み |
| 主な外部仕上げ | 勾配屋根 | 野地板+平形化粧スレート |
| 主な外部仕上げ | 軒裏 | けい酸カルシウム板+EP-G |
| 主な外部仕上げ | 軒樋,竪樋 | 塩化ビニル製 |
| 主な外部仕上げ | 外壁 | 構造用合板+サイディングパネル,水切金物共 |
| 主な外部仕上げ | 玄関扉 | 化粧シート張り鋼製扉 |
| 主な外部仕上げ | 窓 | アルミ製サッシ,単板ガラス共 |
| 主な外部仕上げ | 断熱 | 屋根断熱材張り,外壁断熱材充填,1階床下断熱材敷込み |
| 主な内部仕上げ | 床 洋室 | 木床組+構造用合板+フローリングボード |
| 主な内部仕上げ | 床 和室 | 木床組+構造用合板+畳敷き,一部縁甲板張り |
| 主な内部仕上げ | 床 水廻り | 木床組+構造用合板+ビニル床シート |
| 主な内部仕上げ | 床 玄関 | モルタル下地+タイル |
| 主な内部仕上げ | 壁 洋室,和室 | 木下地+せっこうボード+ビニルクロス |
| 主な内部仕上げ | 壁 水廻り | 木下地+シージングせっこうボード+ビニルクロス |
| 主な内部仕上げ | 天井 洋室 | 木下地+化粧せっこうボード |
| 主な内部仕上げ | 天井 和室 | 木下地+化粧合板 |
| 主な内部仕上げ | 建具 洋室 | 木製扉 枠,額縁SOP塗り共 |
| 主な内部仕上げ | 建具 和室 | 戸襖,押入部:襖一間 |
| 主な内部仕上げ | その他 水廻り | ユニットバス,洗面化粧台,システムキッチン |
解答欄
正解
イ「新築」
5 字ロ「解体」
ハ「改修」
イ「新築」
鉄筋工事(柱・梁主筋のガス圧接)
16 字地上躯体の圧砕機による解体
洋室の壁紙張替え
エントランス壁の小口タイル張り
柱・梁主筋のガス圧接で,降雨や強風の中で作業すると,圧接端面の酸化や加熱不足が起き,圧接不良となる懸念がある。
55 字圧砕機で4階建ての躯体を解体する際,外壁が敷地外側へ倒れたり,コンクリート片が隣地へ飛散したりする懸念がある。
既存のビニルクロスを撤去すると,せっこうボードの表面紙が破れて段差が残り,新しいクロスに凹凸が出る懸念がある。
有機系接着剤による小口タイル張りで,くし目が不ぞろいだったり張付け時間を過ぎたりすると,接着不良で剝離する懸念がある。
降雨・強風時は作業を中止するか,防風・防雨のシートで覆って行う。圧接端面はグラインダーで平滑に仕上げ,その日のうちに圧接する。
63 字最上階から1層ずつ階上解体とし,外周の壁は内側へ引き倒す。敷地境界側は防音パネルで囲い,散水しながら解体する。
撤去後に下地を点検し,紙の破れや段差はパテで埋めて研磨し,シーラーを全面に塗ってからクロスを張る。
接着剤は指定のくし目ごてで壁面に対し60°の角度でくし目を立て,張付け可能時間内に張る。張付け中に一部をはがして付着を確かめる。
型枠工事(コンクリート型枠用合板の保管)
20 字解体で発生した廃棄物の仮置きと搬出
フローリングボードの搬入と保管
せっこうボードの揚重と保管
型枠用合板を屋外に仮置きする際,直射日光や雨にさらされると,表面が劣化し,打放し面の硬化不良や色むらを生じる懸念がある。
60 字コンクリート塊・金属くず・木くずを混ぜて仮置きすると,分別できず再資源化施設へ搬出できなくなる懸念がある。
フローリングボードを床に直置きして保管すると,湿気を吸って反りや寸法変化が生じ,張った後に隙間や突上げが起きる懸念がある。
せっこうボードを各階に揚重して仮置きする際,床に直置きしたり立て掛けたりすると,吸湿や反り,角欠けが生じる懸念がある。
合板は台木の上に平積みし,シートで覆って直射日光と雨を避ける。紫外線で変色した合板は打放し面のせき板に使わない。
56 字品目ごとに仮置き場所を区画して表示し,分別解体した順に集積する。コンクリート塊は鉄筋を除いてから搬出する。
梱包のまま乾燥した室内の台木の上に平積みし,シートで覆う。張る前に数日間室内に置いて室内の湿度になじませる。
パレット単位で揚重し,乾燥した場所の台木の上に平積みとする。積み高さを抑え,シートで覆って濡れを防ぐ。
コンクリート工事(床スラブの打込み後の養生)
22 字重機の出入口となる前面道路の養生
張り替えたフローリングの養生
バルコニー床のウレタン系塗膜防水
床スラブのコンクリート打込み後,夏期の直射日光や風で表面が急激に乾燥し,ひび割れや強度不足が生じる懸念がある。
55 字解体用重機やコンクリート塊を運ぶ車両が出入りする際に,前面道路の舗装や縁石,側溝のふたを損傷する懸念がある。
フローリングを張り替えた後に,内装や建具の工事で人や台車が通ると,表面に傷や汚れが付く懸念がある。
塗膜防水の施工中や硬化前に降雨や歩行があると,塗膜のふくれや傷,硬化不良が生じる懸念がある。
打込み後は散水して養生マットで覆い,5日間以上湿潤に保つ。硬化初期は振動や衝撃を与えないよう,上階への資材の荷揚げを控える。
62 字出入口の前面道路に敷鉄板を敷き,縁石と側溝のふたは養生板やゴムマットで覆う。毎日の作業後に点検し,ずれた敷鉄板は直す。
張上げ後は表面を清掃し,養生シートの上に合板を敷いて保護する。継ぎ目はテープでふさぎ,引渡し前まで残す。
降雨のおそれがある日は施工せず,施工後は立入禁止の表示とロープで区画し,所定の硬化時間を経るまで歩行させない。
コンクリートの打込み計画を検討する。打込みの区画・順序や打重ねの時間間隔が不適切だと,コールドジョイントや充填不良が生じ,躯体の品質が低下するから。
74 字工程計画を検討する。無理な工程では塗装の乾燥や下地の養生の期間が不足し,はく離や変色などで仕上げの品質が低下するから。
材料の受入れ検査の方法を検討する。仕様と異なる材料が使われると,設計図書に定める性能が確保できず品質が低下するから。
1日の打込み量と区画・順序を決め,ポンプ車と生コン車の配車を計画する。打重ねは先に打ち込んだコンクリートが再振動できる時間内とし,棒形振動機は60cm以下の間隔で差し込む。
86 字各工種の乾燥・養生の期間を見込んだ工程表を作り,先行工程の検査を終えてから次工程に引き継ぐ。遅れが出たときは人員を増やして対応し,養生期間は短縮しない。
搬入時に品質証明書と納品書を照合し,種類・寸法・数量を確かめる。不合格品は直ちに場外へ搬出し,合格品と区分して保管する。
工事車両の出入りの計画を検討する。敷地北側の幅員6mの道路から車両が出入りするため,歩行者や一般車両と接触する事故のおそれがあるから。
67 字騒音・振動の防止を検討する。住宅街での杭打ちや解体などの騒音・振動が,近隣住民の生活に迷惑を及ぼすから。
落下物・飛散物の防止を検討する。外部足場からの資材の落下や塗料の飛散が,隣接する住宅や通行人に被害を及ぼすおそれがあるから。
ゲートに交通誘導員を配置し,登下校の時間帯は車両の出入りを避ける。ゲート付近は見通しを確保し,退出時はタイヤを洗浄して道路を汚さないようにする。
72 字低騒音・低振動型の建設機械を選び,作業時間を8時から18時までとする。敷地境界に防音パネルを設け,着工前に近隣へ工程を説明する。
外部足場の外側に防音シートと朝顔を設け,強風時は作業を中止する。吹付け塗装は周囲を養生シートで覆い,風下の住宅の位置に配慮する。
模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。
解き方
- R6からは受検者自身の工事ではなく,問題に示された3つの工事(RC造4階建て共同住宅の新築・解体,木造2階建て住宅の改修)から1つを選んで書く形式になった。記述は選んだ工事の概要(構造・仕上げ・敷地条件・工期)に必ず即すること。
- 1.は〔施工計画時の検討事項〕a(施工・作業の方法),b(資材の取扱い),c(養生)ごとに,①工種名,②作業内容と懸念事項,③対策を書く。②と③は3つの視点ですべて違う内容にする。①は同じ工種でもよい。
- 模範解答はイ「新築」を選び,a 柱・梁主筋のガス圧接(降雨・強風時は作業を行わず,風除け・覆いを設けた場合に限り行う。端面の処理は圧接作業の当日に行う。標仕 5.4.7(3)・5.4.8(3)),b コンクリート型枠用合板の保管(打放し仕上げの外壁があるので,一般に直射日光による表面劣化を防ぐようシートで覆う),c 床スラブの湿潤養生(標仕 6.7.2 表6.7.1:普通ポルトランドセメントは5日以上。打込み後少なくとも1日間はその上で歩行・作業をしない(標仕 6.7.3(2)))の例。
- 別解は各欄の1番目がロ「解体」(圧砕機による階上解体・廃棄物の分別と仮置き・重機の出入口となる前面道路の養生),2番目がハ「改修」(工事期間中は居住者不在。壁紙の張替え・フローリングの保管と養生),3番目がイ「新築」の仕上げ(有機系接着剤による小口タイル張りのくし目ごては壁面に対し60°(標仕 11.3.5),せっこうボードの保管,バルコニーの塗膜防水の養生)で,各欄の同じ番目の別解どうしが同じ工事の一組になっている。
- 2.は工事概要や受検種別にかかわらず,施工計画時の「品質低下」と「公衆災害」の防止について,①検討することと理由,②対策と留意事項を書く。1.と同じ内容は不可。公衆災害は第三者への危害・迷惑で,作業員の労働災害の記述は該当しない。
- 品質低下の例:打重ね時間間隔は先に打ち込んだコンクリートの再振動可能時間以内(標仕 6.6.3(8)),棒形振動機の挿入間隔は60cm以下(標仕 6.6.5)。公衆災害の例:工事用車両の出入口に誘導員を置く,騒音・振動の少ない機械を使う,飛来落下物を防ぐ(建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編))。
同じ論点の過去問
令和6年度の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した2級建築施工管理技士 第二次検定 令和6年度(2024年11月24日(日)実施) 問題1。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する