法人税等の仕訳(日商簿記3級)

法人税等とは、会社の利益にかかる法人税・住民税・事業税をまとめた費用の勘定です。日商簿記3級では、中間申告で納めた額を仮払法人税等にし、決算で当期の税額を法人税等に計上して中間納付額との差額を未払法人税等とし、確定申告で納付する流れが問われます。

出題:第1問・第2問・第3問 科目の確かめ:勘定科目一覧

要点

  • 法人税・住民税・事業税は、会社の利益をもとに計算する税です。3級ではまとめて1つの勘定(法人税等)で処理します。
  • 中間申告:期の途中で、当期の税の一部を前払いします。決算で税額が決まるまでは仮払法人税等(資産)にします。
  • 決算:当期の税額を法人税等(費用)に計上し、仮払法人税等を取り崩して、残りを未払法人税等(負債)にします。
  • 確定申告:決算の後に残りを納付し、未払法人税等を減らします。
  • 税額は問題文で与えられるか、「税引前当期純利益の30%」のように計算の仕方が示されます。課税所得の計算は1級の範囲です。
  • 固定資産税・印紙税などは租税公課(費用)で、法人税等とは別の勘定です。
勘定科目区分使う場面
仮払法人税等資産中間申告で納付した
法人税等費用決算で当期の税額を計上する
未払法人税等負債決算で計上した税額のうち、まだ納めていない分

商業簿記標準・許容勘定科目表の標準の科目名は「法人税、住民税及び事業税」で、「法人税等」も採点上許容されています。当サイトの問題では「法人税等」を使います。また、仮払法人税等は「仮払金」でも許容されています。

仕訳のパターン

場面借方貸方
中間申告で納付した仮払法人税等 ××普通預金 ××
決算で計上した(中間納付あり)法人税等 ××(当期の税額)仮払法人税等 ××・未払法人税等 ××(差額)
確定申告で納付した未払法人税等 ××普通預金 ××
決算で損益勘定へ振り替えた損益 ××法人税等 ××

例題

例題1

法人税等の中間申告を行い、前期の法人税、住民税及び事業税の確定年税額 ¥560,000 の 2 分の 1 を普通預金口座から納付した。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
仮払法人税等280,000普通預金280,000
  1. 納付額は ¥560,000 × 2 分の 1 = ¥280,000。
  2. 当期の税の前払いなので、決算までは仮払法人税等(資産)にする。

ひっかけ:中間納付の時点で法人税等(費用)にしない。前期の年税額 ¥560,000 をそのまま書かない。

例題2

決算の結果、当期の法人税、住民税及び事業税の合計額が ¥640,000 と計算された。なお、中間申告で ¥280,000 を納付しており、仮払法人税等として処理している。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
法人税等640,000仮払法人税等280,000
未払法人税等360,000
  1. 当期の税額 ¥640,000 を法人税等(費用)として借方に計上する。
  2. 中間納付の ¥280,000 は仮払法人税等を貸方で取り崩す。
  3. 残り ¥640,000 − ¥280,000 = ¥360,000 は未払法人税等(負債)。

ひっかけ:法人税等を差額の ¥360,000 にしない。費用は当期の税額の全額。

例題3

決算にあたり、税引前当期純利益 ¥1,600,000 の 30% を法人税、住民税及び事業税として計上する。なお、中間申告で ¥220,000 を納付し、仮払法人税等で処理している。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
法人税等480,000仮払法人税等220,000
未払法人税等260,000
  1. 税額は ¥1,600,000 × 30% = ¥480,000。
  2. 仮払法人税等 ¥220,000 を取り崩し、残り ¥480,000 − ¥220,000 = ¥260,000 を未払法人税等にする。

ひっかけ:法人税等を租税公課にしない。

例題4

法人税等の確定申告を行い、前期の決算で計上した未払法人税等 ¥360,000 を普通預金口座から納付した。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
未払法人税等360,000普通預金360,000
  1. 納める額は前期の決算で未払法人税等(負債)にしてある。
  2. 納付したので未払法人税等を借方で減らし、普通預金を貸方で減らす。

ひっかけ:納付のときにもう一度法人税等(費用)を計上しない。

例題5

設立 1 年目のため、当期は中間申告を行っていない。決算の結果、当期の法人税、住民税及び事業税 ¥390,000 を計上する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
法人税等390,000未払法人税等390,000
  1. 当期の税額 ¥390,000 を法人税等(費用)に計上する。
  2. 中間納付が無いので、全額がまだ納めていない分になり、未払法人税等(負債)とする。

ひっかけ:取り崩す仮払法人税等は無い。

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まちがえやすい点

  • 中間納付のときに法人税等(費用)にする(決算までは仮払法人税等です)
  • 決算で法人税等を差額で計上する(費用は当期の税額の全額。差額は未払法人税等)
  • 未払法人税等と未払消費税を取り違える(消費税の納付額は未払消費税)
  • 法人税等を租税公課にする(租税公課は固定資産税・印紙税など)
  • 確定申告の納付で法人税等をもう一度計上する(決算で計上済みです)

会計基準の改正について

企業会計基準委員会は、2026年7月に改正した「法人税等に関する会計基準」を公表しています。日本商工会議所は、2027年度の出題区分表にはこの改正を織り込んでおらず、強制適用(2028年4月以降に始まる事業年度から)より前に、出題区分表などを改定する予定としています。2027年度の試験は、このページの処理で学習してください。

消費税は消費税の仕訳、決算での損益勘定への振替は決算振替・帳簿の締切、建設業経理士2級の同じ論点は消費税・法人税等をご覧ください。

よくある質問

仮払法人税等と未払法人税等の違いは何ですか?

仮払法人税等は中間申告で前払いした税(資産)、未払法人税等は決算で計上した税のうち、まだ納めていない分(負債)です。決算で仮払法人税等を取り崩し、残りを未払法人税等にします。

法人税等と租税公課はどう分けますか?

会社の利益にかかる法人税・住民税・事業税は法人税等、固定資産税・印紙税など利益に関係なくかかる税は租税公課です。どちらも費用の勘定です。

法人税等の金額はどう決まりますか?

3級では、金額が問題文で与えられるか、税引前当期純利益に税率(30%など)を掛けて求めるよう指示されます。

出典:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2027年度適用・確定版)(2026-10-29 確認)、日本商工会議所「商業簿記標準・許容勘定科目表」(2027年度適用・確定版)(2026-10-29 確認)、日本商工会議所「出題区分表」(注記 ※3(4))(2026-10-29 確認)

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