普通預金・当座預金・当座借越の仕訳(日商簿記3級)
普通預金・当座預金・定期預金は、銀行に預けたお金を表す資産の勘定で、当座借越は当座預金の残高を超えて引き出した額を表す負債の勘定です。3級では、口座の間の振替、定期預金の預入れと満期、当座借越の決算での振替と期首の再振替が問われます。2027年度の出題区分表では普通預金が明記され、複数の口座を持つ場合の管理も範囲に入りました。
要点
| 勘定科目 | 分類 | 内容 |
|---|---|---|
| 普通預金 | 資産 | いつでも出し入れできる預金。振込・引落しの多くはこの口座で行う |
| 当座預金 | 資産 | 決済用の利息のつかない預金。電子記録債務の支払いなどに使う |
| 定期預金 | 資産 | 期間を決めて預ける預金。満期に利息がつく |
| 当座借越 | 負債 | 当座借越契約により、残高を超えて引き出した額。決算で当座預金の貸方残高を振り替える |
| 支払手数料 | 費用 | 振込手数料など |
| 受取利息 | 収益 | 預金の利息 |
口座の間で資金を移すと、増えた口座の勘定を借方、減った口座の勘定を貸方に記入します。現金を通さないので、現金勘定は使いません。振込手数料が引き落とされたときは、支払手数料(費用)を計上し、減った口座の金額に手数料を含めます。
同じ種類の預金を複数の銀行に持つときは、「普通預金A銀行」「普通預金B銀行」のように口座ごとの勘定で管理することがあります(勘定科目表にもこの形の科目があります)。どの勘定を使うかは、問題文の指示に従います。
当座借越契約(借越限度額まで、残高を超えて支払える契約)を結んでいると、当座預金が貸方残高になることがあります。期中は当座預金勘定だけで記帳し、決算で貸方残高を当座借越(負債)に振り替え、翌期首に逆の仕訳で当座預金に戻します(再振替)。問題文で借入金勘定を使うよう指示されたときは、それに従います。
仕訳のパターン
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 普通預金から当座預金へ振替 | 当座預金 ×× | 普通預金 ×× |
| 他の銀行の口座へ振替(手数料が引かれる) | 当座預金 ××/支払手数料 ×× | 普通預金 ××(手数料を含む) |
| 定期預金の預入れ | 定期預金 ×× | 普通預金 ×× |
| 定期預金の満期(利息とともに入金) | 普通預金 ×× | 定期預金 ××/受取利息 ×× |
| 期中:残高を超えて支払う(当座借越契約あり) | 買掛金など ×× | 当座預金 ×× |
| 決算:当座預金の貸方残高を振替 | 当座預金 ×× | 当座借越 ×× |
| 期首:再振替 | 当座借越 ×× | 当座預金 ×× |
| 口座ごとの勘定を使う指示があるとき | 普通預金B銀行 ×× | 普通預金A銀行 ×× |
例題
例題1
電子記録債務の支払いに備えて、普通預金口座から同じ銀行の当座預金口座へ ¥500,000 を振り替えた。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 500,000 | 普通預金 | 500,000 |
- 当座預金が ¥500,000 増えるので借方、普通預金が ¥500,000 減るので貸方。
- 口座の間の移動なので、現金勘定は使わない。
ひっかけ:どちらの口座からどちらの口座へ移したかを読み違えない。増えた方が借方。
例題2
普通預金口座から ¥1,200,000 を振り替えて、期間 1 年の定期預金に預け入れた。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 定期預金 | 1,200,000 | 普通預金 | 1,200,000 |
- 定期預金(資産)が ¥1,200,000 増えるので借方。
- 資金は普通預金から出たので、貸方は普通預金 ¥1,200,000。
ひっかけ:定期預金は普通預金と別の勘定で記録する。預金をまとめて「普通預金」のままにしない。
例題3
当社は A銀行に普通預金口座を、B銀行に当座預金口座を開設している。本日、A銀行の普通預金口座から B銀行の当座預金口座へ ¥300,000 を移し、その際の振込手数料 ¥440 は A銀行の普通預金口座から引き落とされた。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 300,000 | 普通預金 | 300,440 |
| 支払手数料 | 440 |
- B銀行の当座預金が ¥300,000 増えるので、借方は当座預金 ¥300,000。
- 振込手数料 ¥440 は支払手数料(費用)として借方に記入する。
- A銀行の普通預金からは ¥300,000 + ¥440 = ¥300,440 が減る。
ひっかけ:手数料を引いた額を当座預金にしない。手数料は送る側(普通預金)から引かれている。
例題4
期間 6 か月、年利率 0.3% の定期預金 ¥2,000,000 が満期となり、利息とともに普通預金口座に振り替えられた。利息は月割で計算し、利息にかかる税金は考えないものとする。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 2,003,000 | 定期預金 | 2,000,000 |
| 受取利息 | 3,000 |
- 利息は ¥2,000,000 × 0.3% × 6 か月 ÷ 12 か月 = ¥3,000。受取利息(収益)。
- 満期で定期預金 ¥2,000,000 がなくなるので、貸方で減らす。
- 元金と利息の合計 ¥2,003,000 が普通預金に入る。
ひっかけ:年利率は 1 年分なので、6 か月なら半分にする。
例題5
上田商店に対する電子記録債務 ¥350,000 の支払期日となり、当座預金口座から引き落とされた。引落し前の当座預金の残高は ¥210,000 であったが、借越限度額 ¥1,000,000 の当座借越契約を結んでいる。なお、期中は当座預金勘定だけで記帳し、当座借越勘定は決算のときに用いる。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 電子記録債務 | 350,000 | 当座預金 | 350,000 |
- 電子記録債務(負債)が決済されたので、借方で ¥350,000 減らす。
- 期中は当座預金勘定だけで記帳する指示なので、引き落とされた全額 ¥350,000 を当座預金の貸方に記入する。
- 当座預金勘定は ¥350,000 − ¥210,000 = ¥140,000 の貸方残高になる。
ひっかけ:残高を超えた ¥140,000 を、引落しのときに当座借越に分けない。
例題6
決算日において、当座預金勘定が ¥140,000 の貸方残高となっている。これは借越限度額 ¥1,000,000 の当座借越契約によるものであり、この貸方残高を当座借越勘定に振り替える。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 140,000 | 当座借越 | 140,000 |
- 当座預金の貸方残高は、銀行から借りているのと同じ状態。決算で負債の当座借越に振り替える。
- 当座預金の貸方残高を 0 にするため借方に当座預金 ¥140,000、貸方に当座借越 ¥140,000。
- 翌期首には、当座借越 ¥140,000/当座預金 ¥140,000 の再振替を行う。
ひっかけ:貸借を逆にしない。当座預金の「貸方」残高を消すので、当座預金は借方に書く。
この論点をランダム仕訳で練習(問題の型 4 種類。数字と取引先が毎回変わります)
まちがえやすい点
- 振替の向き:増えた口座が借方、減った口座が貸方。どちらの口座から移したかを問題文で確かめる
- 振込手数料は、減った口座の金額に含める。支払利息にしない
- 期中に当座預金が貸方残高になっても、その時点では当座借越に分けない(期中は当座預金勘定だけで記帳する指示がある場合)
- 当座借越は負債。決算で振り替えたら、翌期首の再振替を忘れない
- 定期預金の利息は月割で計算し、受取利息にする
- 口座ごとの勘定(普通預金A銀行など)を使う指示があれば、それに従う
2027年度の改定との関係
2027年度の出題区分表では、現金預金の項目に「普通預金」が当座預金に先立って明記され、複数の口座を開設している場合の管理も含むとされました。改定の説明書は、小切手を振り出すことがなくなるので当座預金の重要性は下がるものの、電子記録債務の支払いに当座預金口座が求められることもあり、当座預金の意義は残るとしています。当サイトの2027年度の範囲の問題では、小切手を使わず、振込・引落し・口座の間の振替で出題します。詳しくは2027年度の改定。
建設業経理士2級にも当座預金・当座借越の論点があります(小切手を使う問題を含みます)。
よくある質問
普通預金と当座預金の違いは何ですか?
どちらも資産です。普通預金は利息がつき、いつでも出し入れできる預金です。当座預金は利息のつかない決済用の預金で、電子記録債務の支払いなどに使われます。仕訳では別の勘定で記録します。
当座借越は資産ですか、負債ですか?
負債です。当座借越契約にもとづいて残高を超えて引き出した額で、銀行からの借入れと同じ性質です。決算で当座預金の貸方残高を当座借越に振り替えます。
2027年度から小切手の問題は出ますか?
改定の説明書は、紙の小切手が廃止され小切手を振り出すことがなくなるとしています。当サイトの2027年度の範囲の問題では小切手を使わず、普通預金口座からの振込などで出題します。
口座が複数あるときは、どの勘定科目を使いますか?
問題文の指示に従います。「普通預金A銀行」のように口座ごとの勘定を使うよう指示があればそれを使い、指示が無ければ普通預金・当座預金・定期預金の勘定で記録します。
出典:出題区分表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)、改定項目等の説明書(確定版)(2026-10-29 確認)、標準・許容勘定科目表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)
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