約束手形・手形貸付金・手形借入金の仕訳(日商簿記3級)

約束手形は、決められた日(満期日)に代金を支払うことを約束する証券です。3級では、商品の代金として約束手形を振り出す・受け取る仕訳、満期日の決済の仕訳と、お金の貸し借りに約束手形を使う手形貸付金・手形借入金の仕訳が問われます。この論点は2027年3月31日までに受ける試験だけの範囲で、2027年4月1日以降の試験では出題されません。

出題:第1問・第2問 範囲:2027年3月31日までの範囲 科目の確かめ:勘定科目一覧

2027年4月1日以降に受ける人へ:2027年度版の出題区分表では手形の規定がすべて削除され、受取手形・支払手形・手形貸付金・手形借入金は範囲から外れます。この論点は飛ばしてかまいません。代金の後払い・後受けは売掛金・買掛金・電子記録債権・電子記録債務、お金の貸し借りは貸付金・借入金で出題されます。詳しくは2027年度の改定をご覧ください。

要点

勘定科目分類使う場面
受取手形資産商品の代金(売掛金の回収を含む)として約束手形を受け取ったとき
支払手形負債商品の代金(買掛金の支払いを含む)として約束手形を振り出したとき
手形貸付金資産お金を貸し、借用証書の代わりに約束手形を受け取ったとき
手形借入金負債お金を借り、借用証書の代わりに約束手形を振り出したとき
  • 振出人(手形を作成して渡す側)は、満期日に代金を支払う義務を負う。受取人(手形を受け取る側)は、満期日に代金を受け取る権利を持つ
  • 満期日に取引銀行を通じて決済され、当座預金などで代金を受け払いする
  • 手形を受け取った・振り出した時点では、お金はまだ動いていない
  • 商品売買の手形は受取手形・支払手形、お金の貸し借りの手形は手形貸付金・手形借入金と、目的で科目を分ける
  • 帳簿では、受取手形記入帳・支払手形記入帳(補助簿)に記入する
  • 手形の裏書譲渡・割引、更改(書換え)、不渡りは2級の範囲

仕訳のパターン

場面借方貸方
商品を仕入れ、約束手形を振り出した仕入 ××支払手形 ××
買掛金の支払いに約束手形を振り出した買掛金 ××支払手形 ××
商品を売り、約束手形を受け取った受取手形 ××売上 ××
売掛金の回収として約束手形を受け取った受取手形 ××売掛金 ××
受取手形が満期になり、当座預金に入金された当座預金 ××受取手形 ××
支払手形が満期になり、当座預金から支払った支払手形 ××当座預金 ××
約束手形を受け取って貸し付けた手形貸付金 ××当座預金 ××
約束手形を振り出して借り入れた(利息を差し引かれた)当座預金 ××・支払利息 ××手形借入金 ××

例題

例題1

上田商店から商品 ¥400,000 を仕入れ、代金のうち ¥250,000 は同店宛ての約束手形を振り出し、残額は掛けとした。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
仕入400,000支払手形250,000
買掛金150,000
  1. 商品を仕入れたので、仕入(費用)¥400,000 を借方に計上する。
  2. 約束手形を振り出した ¥250,000 は、満期日に支払う義務なので支払手形(負債)。
  3. 残りの ¥400,000 − ¥250,000 = ¥150,000 は掛けなので買掛金(負債)。

ひっかけ:当社が振り出した手形は支払手形。受取手形にしない。

例題2

広瀬商店に対する売掛金 ¥300,000 の回収として、同店振出しの約束手形を受け取った。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
受取手形300,000売掛金300,000
  1. 売掛金の回収として手形を受け取ったので、売掛金(資産)を貸方で減らす。
  2. 代わりに満期日に代金を受け取る権利が生じるので、受取手形(資産)¥300,000 を借方に記入する。

ひっかけ:まだお金は入っていない。預金を増やさず、売掛金を受取手形に置き換える。

例題3

かねて広瀬商店から受け取っていた同店振出しの約束手形 ¥300,000 が満期日となり、当座預金口座に入金された旨の連絡を取引銀行から受けた。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
当座預金300,000受取手形300,000
  1. 手形の代金が当座預金口座に入金されたので、当座預金(資産)¥300,000 を借方に記入する。
  2. 代金を受け取る権利がなくなるので、受取手形(資産)を貸方で減らす。

ひっかけ:売掛金は手形を受け取ったときに減らしているので、ここでは受取手形を減らす。

例題4

かねて上田商店宛てに振り出していた約束手形 ¥250,000 が満期日となり、当座預金口座から支払われた。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
支払手形250,000当座預金250,000
  1. 手形の代金を支払ったので、支払う義務である支払手形(負債)¥250,000 を借方で減らす。
  2. 当座預金口座から支払われたので、当座預金(資産)を貸方で減らす。

ひっかけ:買掛金は手形を振り出したときに減らしているので、ここでは支払手形を減らす。

例題5

青葉商店に ¥2,000,000 を貸し付け、同店振出しの約束手形を受け取った。なお、貸付期間 6 か月・年利率 3% の利息を月割で計算して差し引き、残額を当座預金口座から振り込んだ。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
手形貸付金2,000,000受取利息30,000
当座預金1,970,000
  1. お金を貸して約束手形を受け取ったので、手形貸付金(資産)¥2,000,000 を借方に計上する。
  2. 利息は ¥2,000,000 × 3% × 6か月 ÷ 12か月 = ¥30,000。差し引いて受け取ったので受取利息(収益)。
  3. 振り込んだのは ¥2,000,000 − ¥30,000 = ¥1,970,000。当座預金を貸方で減らす。

ひっかけ:お金の貸付けで受け取った手形は受取手形ではなく手形貸付金。手形貸付金は利息を差し引く前の ¥2,000,000 で計上する。

例題6

取引銀行に約束手形を振り出して借り入れていた ¥1,500,000(借入期間 9 か月、年利率 2.4%)の返済期日となり、利息とともに当座預金口座から返済した。なお、利息は月割で計算する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
手形借入金1,500,000当座預金1,527,000
支払利息27,000
  1. 利息は ¥1,500,000 × 2.4% × 9か月 ÷ 12か月 = ¥27,000。支払利息(費用)。
  2. 借入金を返したので、手形借入金(負債)¥1,500,000 を借方で減らす。
  3. 元利合計 ¥1,527,000 を当座預金から支払った。

ひっかけ:減らすのは手形借入金(支払手形ではない)。

この論点をランダム仕訳で練習(問題の型 6 種類。数字と取引先が毎回変わります)

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まちがえやすい点

  • 振り出したら支払手形、受け取ったら受取手形。「同店振出し」の手形を受け取ったなら受取手形
  • 手形を受け取った(振り出した)時点では、預金を増減させない
  • 満期の決済で減らすのは受取手形・支払手形。売掛金・買掛金は手形を受け取った(振り出した)ときに減らしている
  • お金の貸し借りで受け取った(振り出した)手形は、受取手形・支払手形ではなく手形貸付金・手形借入金
  • 利息を差し引いたときも、手形貸付金・手形借入金は差し引く前の金額で計上する

建設業経理士2級の手形取引の解説では、裏書譲渡・割引・不渡りを含む手形の問題を扱っています(日商簿記では2級の範囲の内容を含みます)。

よくある質問

2027年4月以降の日商簿記3級でも手形は出ますか?

出ません。2027年度版の出題区分表では手形の規定がすべて削除され、約束手形・手形貸付金・手形借入金は範囲外になりました。2027年3月31日までの試験は2022年度版の区分表が適用されるので、手形も範囲に入ります。

受取手形と手形貸付金はどう区別しますか?

手形を受け取った目的で区別します。商品の代金として受け取ったら受取手形、お金を貸して借用証書の代わりに受け取ったら手形貸付金です。支払手形と手形借入金も同じです。

手形貸付金を「貸付金」と答えてもよいですか?

2027年3月31日までの試験に適用される勘定科目表では、手形貸付金には貸付金、手形借入金には借入金が、許容される科目として示されています。問題文で科目が指定されていれば、それに従います。

出典:日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2022年4月1日施行。2027年3月31日までの試験に適用)(2026-10-29 確認)、日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年4月1日施行。改定箇所を示した版)(2026-10-29 確認)

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