給料・預り金・法定福利費の仕訳(日商簿記3級)
給料は従業員に支払う給与の費用です。源泉所得税・住民税・社会保険料の従業員負担分は給料から差し引いて預かり、預り金(負債)にします。3級では、給料の支給、預り金の納付、社会保険料の納付(会社負担分は法定福利費)の仕訳が問われます。
要点
| 科目 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|
| 給料 | 費用 | 従業員の給与。差し引く前の総額で計上する |
| 所得税預り金 | 負債 | 給料から差し引いた源泉所得税(後で税務署に納める) |
| 住民税預り金 | 負債 | 給料から差し引いた住民税(後で市町村に納める) |
| 社会保険料預り金 | 負債 | 健康保険料・厚生年金保険料などの従業員負担分 |
| 法定福利費 | 費用 | 社会保険料の会社負担分 |
源泉所得税は、給料を払う会社が従業員の所得税を差し引いて預かり、代わりに納める税金です。預かったお金は返す(納める)義務があるので負債です。
問題文で「預り金勘定で処理する」とあれば、所得税・住民税・社会保険料をまとめて預り金にします。科目の指示に従います。
社会保険料は、従業員負担分と会社負担分を合わせて納付します。従業員負担分は預り金を減らし、会社負担分は法定福利費(費用)にします。
仕訳のパターン
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 給料を支給した | 給料 ×× | 所得税預り金 ××/社会保険料預り金 ××/普通預金 ×× |
| 源泉所得税を納付した | 所得税預り金 ×× | 普通預金 ×× |
| 住民税を納付した | 住民税預り金 ×× | 普通預金 ×× |
| 社会保険料を納付した | 社会保険料預り金 ××/法定福利費 ×× | 普通預金 ×× |
例題
例題1
従業員に給料 ¥450,000 を支給するにあたり、源泉所得税 ¥18,000 を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。なお、源泉所得税は所得税預り金勘定で処理する。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 450,000 | 所得税預り金 | 18,000 |
| 普通預金 | 432,000 |
- 給料(費用)は差し引く前の総額 ¥450,000 で計上する。
- 源泉所得税 ¥18,000 は預かって後で納めるので所得税預り金(負債)。
- 振り込んだのは ¥450,000 − ¥18,000 = ¥432,000。
ひっかけ:給料を手取りの ¥432,000 で計上しない。
例題2
給料 ¥620,000 の支給にあたり、源泉所得税 ¥24,000、住民税 ¥31,000、社会保険料の従業員負担分 ¥88,000 を差し引き、残額を普通預金口座から支払った。なお、預り金は所得税預り金・住民税預り金・社会保険料預り金の各勘定で処理する。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 620,000 | 所得税預り金 | 24,000 |
| 住民税預り金 | 31,000 | ||
| 社会保険料預り金 | 88,000 | ||
| 普通預金 | 477,000 |
- 給料(費用)は総額 ¥620,000 で計上する。
- 差し引いた 3 つは、それぞれの預り金(負債)にする。
- 振り込んだのは ¥620,000 − ¥24,000 − ¥31,000 − ¥88,000 = ¥477,000。
例題3
給料 ¥380,000 の支給にあたり、源泉所得税 ¥11,000 と社会保険料の従業員負担分 ¥55,000 を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。なお、差し引いた額は所得税・社会保険料に分けず、まとめて預り金勘定(1 つの勘定)で処理する。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 380,000 | 預り金 | 66,000 |
| 普通預金 | 314,000 |
- 給料(費用)は総額 ¥380,000 で計上する。
- 指示どおり、差し引いた ¥11,000 + ¥55,000 = ¥66,000 をまとめて預り金(負債)にする。
- 振り込んだのは ¥380,000 − ¥66,000 = ¥314,000。
ひっかけ:「預り金勘定で処理する」と指示があるので、所得税預り金・社会保険料預り金に分けない。
例題4
源泉所得税 ¥42,000 を普通預金口座から税務署に納付した。なお、源泉所得税は給料の支払時に所得税預り金勘定で処理している。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 所得税預り金 | 42,000 | 普通預金 | 42,000 |
- 給料の支払時に預かった源泉所得税を納めたので、所得税預り金(負債)を借方で減らす。
- 普通預金から納付したので、貸方は普通預金。
ひっかけ:従業員の税金を預かって納めただけなので、租税公課や法人税等(会社の費用)にしない。
例題5
社会保険料 ¥176,000 を普通預金口座から納付した。このうち半額は従業員負担分で、給料の支払時に社会保険料預り金勘定で処理しており、残りは会社負担分である。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 社会保険料預り金 | 88,000 | 普通預金 | 176,000 |
| 法定福利費 | 88,000 |
- 従業員負担分 ¥176,000 ÷ 2 = ¥88,000 は預かっていた分なので、社会保険料預り金(負債)を減らす。
- 会社負担分 ¥88,000 は会社の費用なので、法定福利費(費用)。
- 合計 ¥176,000 を普通預金から納付した。
ひっかけ:納付額の全額を法定福利費にしない。従業員負担分は預り金の減少。
この論点をランダム仕訳で練習(問題の型 3 種類。数字と取引先が毎回変わります)
まちがえやすい点
- 給料は手取りではなく、差し引く前の総額で計上する。
- 社会保険料の納付額の全額を法定福利費にしない。従業員負担分は預り金を減らす。
- 預り金の納付は従業員の税金・保険料を納めただけなので、租税公課・法人税等にしない。
- 「預り金勘定で処理する」と指示があるときは、所得税預り金などに分けない。逆に科目が分けて指定されていれば、まとめない。
- 給料から差し引いた従業員への貸付金の返済分や立替分は、預り金ではなく従業員貸付金・従業員立替金の減少。
よくある質問
法定福利費とは何ですか?
健康保険料・厚生年金保険料などの社会保険料のうち、会社が負担する分の費用です。従業員負担分は給料から預かった預り金なので、法定福利費にはしません。
所得税預り金と預り金はどちらを使いますか?
問題文の指示に従います。日本商工会議所の勘定科目表では、所得税預り金が標準の科目で、預り金も認められる科目として挙げられています。
給料はいくらで計上しますか?
源泉所得税などを差し引く前の総額で計上します。差し引いた額は預り金、実際に支払った手取りは普通預金などの減少です。
出典:日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年4月1日施行)(2026-10-29 確認)
当サイトは日本商工会議所・各地の商工会議所とは関係ありません。問題はすべて当サイトのオリジナルです。執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)。このページの最終更新 。