貸付金・借入金・利息の仕訳(日商簿記3級)

貸付金は他人にお金を貸したときの資産、借入金はお金を借りたときの負債です。3級では、貸付け・借入れと元利の受払いの仕訳、利息の月割計算(元本×年利率×月数÷12)が問われます。相手が役員や従業員のときは、役員貸付金・役員借入金・従業員貸付金を使います。

出題:第1問・第2問・第3問 科目の確かめ:勘定科目一覧

要点

科目区分使う場面
貸付金資産お金を貸した。返してもらう権利
借入金負債お金を借りた。返す義務
受取利息収益貸した側が受け取る利息
支払利息費用借りた側が支払う利息
役員貸付金・従業員貸付金資産役員・従業員にお金を貸した
役員借入金負債役員からお金を借りた

利息は「元本 × 年利率 × 借りていた(貸していた)月数 ÷ 12」で計算します。問題文に「月割で計算する」とあれば、年利率をそのまま掛けずに月数で按分(期間に合わせて割り振ること)します。

利息を借入時に差し引かれる(天引き)ときも、借入金は差し引く前の元本で計上します。返す義務があるのは元本の全額だからです。差し引かれた利息は支払利息にします。

仕訳のパターン

場面借方貸方
お金を貸し、普通預金から振り込んだ貸付金 ××普通預金 ××
元本と利息を回収した普通預金 ××貸付金 ××/受取利息 ××
お金を借りた普通預金 ××借入金 ××
利息を差し引かれて借りた普通預金 ××/支払利息 ××借入金 ××
元本と利息を返済した借入金 ××/支払利息 ××普通預金 ××
役員に貸した役員貸付金 ××普通預金 ××
役員から借りた普通預金 ××役員借入金 ××
給料から従業員の返済分を差し引いた給料 ××所得税預り金 ××/従業員貸付金 ××/普通預金 ××

例題

例題1

北村商事に ¥800,000 を貸し付け、普通預金口座から同社の口座へ振り込んだ。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
貸付金800,000普通預金800,000
  1. お金を貸したので、返してもらう権利(貸付金・資産)が増える。借方に貸付金 ¥800,000。
  2. 普通預金から振り込んだので、貸方に普通預金 ¥800,000。

例題2

かねて南町商店に貸し付けていた ¥1,200,000(貸付期間 9 か月、年利率 2.5%)の返済期日となり、利息とともに普通預金口座に振り込まれた。なお、利息は月割で計算する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,222,500貸付金1,200,000
受取利息22,500
  1. 利息は ¥1,200,000 × 2.5% × 9 か月 ÷ 12 か月 = ¥22,500。
  2. 元本 ¥1,200,000 が返ってきたので、貸付金(資産)を貸方で減らす。利息は貸した側なので受取利息(収益)。
  3. 元利合計 ¥1,222,500 が普通預金に入金された。

ひっかけ:年利率 2.5% をそのまま掛けると ¥30,000 になる。期間は 9 か月なので月割にする。

例題3

取引銀行から ¥3,000,000 を借入期間 8 か月、年利率 1.8% の条件で借り入れ、利息を差し引かれた残額が普通預金口座に入金された。なお、利息は月割で計算する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
普通預金2,964,000借入金3,000,000
支払利息36,000
  1. 利息は ¥3,000,000 × 1.8% × 8 か月 ÷ 12 か月 = ¥36,000。
  2. 返す義務があるのは元本の全額なので、借入金(負債)は ¥3,000,000。
  3. 差し引かれた利息 ¥36,000 は支払利息(費用)。入金額は ¥3,000,000 − ¥36,000 = ¥2,964,000。

ひっかけ:入金額 ¥2,964,000 を借入金にしない。借入金は元本で計上する。

例題4

取引銀行からの借入金 ¥2,400,000 について、返済期日に利息とともに普通預金口座から返済した。なお、借入期間は 10 か月、年利率は 3% であり、利息は月割で計算する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
借入金2,400,000普通預金2,460,000
支払利息60,000
  1. 利息は ¥2,400,000 × 3% × 10 か月 ÷ 12 か月 = ¥60,000。
  2. 元本 ¥2,400,000 を返したので、借入金(負債)を借方で減らす。利息は借りた側なので支払利息(費用)。
  3. 合計 ¥2,460,000 を普通預金から支払った。

例題5

当社の役員から運転資金として ¥1,500,000 を借り入れ、同額が普通預金口座に振り込まれた。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,500,000役員借入金1,500,000
  1. 役員からお金を借りたので、返す義務が生じる。役員からの借入れは役員借入金(負債)。
  2. 普通預金に ¥1,500,000 が入金された。

ひっかけ:借りた側なので役員借入金(負債)。役員貸付金(資産)と向きを取り違えない。

例題6

従業員に給料 ¥320,000 を支払うにあたり、源泉所得税 ¥9,000 と、従業員への貸付金の今月の返済分 ¥30,000 を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。なお、源泉所得税は所得税預り金勘定で処理し、従業員への貸付けは従業員貸付金勘定で処理している。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
給料320,000所得税預り金9,000
従業員貸付金30,000
普通預金281,000
  1. 給料(費用)は差し引く前の総額 ¥320,000 で計上する。
  2. 源泉所得税 ¥9,000 は預かって後で納めるので所得税預り金(負債)。返済分 ¥30,000 は貸付金が返ってきたので従業員貸付金(資産)の減少。
  3. 振り込んだのは ¥320,000 − ¥9,000 − ¥30,000 = ¥281,000。

ひっかけ:給料から差し引いた返済分を預り金にしない。貸したお金が返ってきたので従業員貸付金を減らす。

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まちがえやすい点

  • 年利率をそのまま掛けない。期間が 1 年に満たないときは「× 月数 ÷ 12」で月割にする。
  • 利息を差し引かれて借りたときも、借入金は差し引く前の元本で計上する。
  • 貸した側の利息は受取利息(収益)、借りた側の利息は支払利息(費用)。
  • 回収・返済で減らす貸付金・借入金は元本だけ。利息を含めない。
  • 役員への貸付けは役員貸付金、役員からの借入れは役員借入金。従業員への貸付けは従業員貸付金で、従業員の代わりに払った立替え(従業員立替金)とは区別する。
  • 決算で、まだ受け取っていない利息や支払っていない利息を計上する処理は、未収利息・未払利息などの経過勘定の論点です。

2027年度の改定との関係

2027年4月からの試験では、手形の規定が出題区分表から削除されるため、約束手形を使った貸し借り(手形貸付金・手形借入金)は出題されなくなります。貸付け・借入れの代金の受払いは、普通預金口座の振込などで出題されます。詳しくは2027年度の改定をご覧ください。

よくある質問

利息の月割はどう計算しますか?

元本 × 年利率 × 貸していた(借りていた)月数 ÷ 12 で計算します。例えば ¥1,200,000 を年利率 2.5% で 9 か月貸したときは、¥1,200,000 × 2.5% × 9 ÷ 12 = ¥22,500 です。

利息を先に差し引かれたとき、借入金はいくらで計上しますか?

差し引かれる前の元本で計上します。返す義務があるのは元本の全額だからです。差し引かれた利息は支払利息にします。

役員への貸付けは貸付金で処理してもよいですか?

3級の標準的な科目は役員貸付金です。日本商工会議所の勘定科目表では、貸付金も認められる科目として挙げられています。問題文で科目が指定されていれば、それに従います。

出典:日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)、商業簿記標準・許容勘定科目表(2027年4月1日施行)(2026-10-29 確認)

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