ケヤキの移植(溝掘り式根回しが活着を促す仕組み・移動式クレーンでの積込み時の品質管理上の措置)
これは1級造園施工管理技士 第二次検定 令和2年度(2020年12月6日(日)実施) 問題2 設問(3)(イ)(ロ)の問題です。論点は「植栽・移植」(重要度A・解答の形は記述・穴埋め)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
(3) 高木移植工及び高木植栽工に関し、以下の(イ)〜(ホ)について答えなさい。
【問題2】次に示す図面、工事数量表及び工事に係る条件に基づく造園工事の施工管理に関する以下の設問(1)〜(5)について答えなさい。
※園路・広場舗装工事(園路の排水工事を含む)は別途工事
〔工事に係る条件〕
・本工事は、一部供用を開始している地区公園において、左記の工事数量表に基づき施工するものである。
・本公園の位置は関東地方である。
・コウライシバの植栽を行う区域のうち平坦なエリア部分は、表層部分(厚さ30cm)が植栽土壌として適さず、またその下層部分は深さ5m以上にわたって透水性が不良な地盤である。そのため、敷地造成工において表層部分をすき取って、工事区域外に搬出し、表土盛土工において良質な発生表土により盛土する。
・土性改良工は、クスノキ、シラカシ、ケヤキ、サツキツツジ、コウライシバを植栽する区域で行う。
・移植工は、供用区域内(図の範囲外)で、あらかじめ溝掘り式根回し作業を行ってあるケヤキを、掘り取ってから約200m運搬して植え付ける。
・遊具組立設置工は、図の遊具エリアに2連ブランコなどスチール製遊具を3基設置する。
・工事区域と供用区域との境界には、立入防止用の柵が既に設置されている。
・工期は11月1日から翌年の3月10日までとする。
(イ) ケヤキの移植に先立ち行われた溝掘り式根回しが、樹木の活着や生育を促す仕組みを具体的に記述しなさい。
(ロ) ケヤキの移植において移動式クレーンを使用することとしている。積込み作業を行う際に樹幹や枝葉に損傷を与えないようにするため、どのような品質管理上の措置を行うのか、対象部位等を明記して具体的に2つ記述しなさい。
(ただし、クレーンの据付け・操作に関する内容は除く。)

| 工種 | 種別 | 細別 | 規格 | 単位 | 数量 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 敷地造成工 | 掘削工 | 掘削 | ― | m³ | 900 | 運搬を含む |
| 植栽基盤工 | 透水層工 | * | * | * | * | * |
| 植栽基盤工 | 表土盛土工 | 盛土(発生表土) | ― | m³ | 900 | |
| 植栽基盤工 | 土性改良工 | 土性改良 | バーク堆肥 | m² | 6,100 | |
| 植栽工 | 高木植栽工 | クスノキ | H(m) 7.0、C(m) 0.80、W(m) 3.0 | 本 | 4 | 八ツ掛支柱(丸太三本) |
| 植栽工 | 高木植栽工 | シラカシ | H(m) 3.5、C(m) 0.18、W(m) 1.0 | 本 | 10 | 二脚鳥居型支柱(添え木付) |
| 植栽工 | 中低木植栽工 | サツキツツジ | H(m) 0.3、C(m) ―、W(m) 0.4 | 株 | 300 | |
| 植栽工 | 地被類植栽工 | コウライシバ | 36cm×28cm×10枚 | m² | 6,000 | * |
| 移植工 | 高木移植工 | ケヤキ | H(m) 5.0、C(m) 0.30、W(m) 2.0 | 本 | 2 | 八ツ掛支柱(丸太三本) |
| 遊戯施設整備工 | 遊具組立設置工 | スチール製遊具 | ― | 式 | 1 |
解答欄
正解
太根の一部を残して環状はく皮し、ほかの根を切ると、切り口やはく皮部から細根が出て根鉢の中に細根が密に育つので、移植後も根鉢の細根で吸水でき活着しやすい。
76 字根鉢の外側の根を切って埋め戻しておくと、鉢の内側に新しい細根が多く出る。残した太根で樹体を支え水を吸い上げ続けるので衰弱せず、細根の多い根鉢で移植できる。
樹幹:吊り位置の幹にこもを巻いて当て板を添え、幅の広いナイロンスリングで吊って樹皮のはがれを防ぐ。
49 字樹幹:ワイヤロープを幹に直接掛けず、緩衝材を巻いた上からベルトスリングを掛けて吊る。
樹幹:荷台の幹が当たる位置にむしろと枕木を置き、荷締めロープの掛かる幹には当て物をする。
枝葉:積込み前に枝を幹側へ寄せて縄で結束する枝しおりを行い、吊上げや荷台に載せるときの枝折れを防ぐ。
50 字枝葉:樹冠をシートやこもで包み、荷台や周りの物に枝先が当たって折れたり傷んだりしないようにする。
枝葉:梢を荷台の後方に向けて寝かせ、枝が荷台からはみ出したり荷台に押しつぶされたりしないように積む。
模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。
解き方
- (イ) 溝掘り式根回しは、移植予定の1〜2年前に、根鉢の大きさの外周に溝を掘って根を切り、支持のために残す太根(3〜4方向)は形成層まで幅10〜15cm程度の環状はく皮をして、溝を埋め戻しておく方法である。公園緑地工事共通仕様書(令和2年5月) 第2章2-4-3は、一部の太根は切断せず、適切な幅で形成層まで環状はく皮を行い、根鉢の周りを埋め戻して十分に灌水するとしている。
- 根を切った切り口や、環状はく皮した部分の上端(葉でつくられた養分がたまる所)から、細根(新根)が多く発生する。移植までに根鉢の範囲に細根が密に育つので、掘り取っても吸水できる根を持って移植でき、活着と植付け後の生育が良くなる。残した太根は樹体を支え、木部を通して水を吸い上げ続けるので、根回し中に樹木が衰弱したり倒れたりしない。
- (ロ) 公園緑地工事共通仕様書(令和2年5月) 第2章2-4-1は、樹木の運搬にあたり枝幹等の損傷・鉢崩れ等がないよう十分に保護養生を行うこと、吊り上げでは保護材で幹を保護するだけでなく根鉢も保護することを定めている。設問は樹幹・枝葉の損傷防止で、対象部位を明記して書く。
- 樹幹は、ワイヤロープを直接掛けると樹皮がはがれて形成層が傷み、枯れ込みや腐朽の原因になるので、こも・むしろなどの緩衝材と当て板で保護し、ナイロンスリングで吊る。枝葉は、枝しおり(枝を幹側に寄せて縄で結束する)や樹冠の被覆で枝折れを防ぐ。ケヤキは枝が箒状に細かく分かれ、冬は落葉しているので、細い枝先が折れやすい。
- クレーンの据付け(地盤・アウトリガー)や操作(旋回・巻上げの速度)の内容は除くとされているので書かない。
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令和2年度の前後の問題
出典:一般財団法人 全国建設研修センターが実施した1級造園施工管理技士 第二次検定 令和2年度(2020年12月6日(日)実施) 問題2 設問(3)(イ)(ロ)。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する