差入保証金・支払家賃・支払手数料の仕訳(日商簿記3級)
差入保証金は、建物や土地を借りるときに貸主に預ける敷金などの資産です。契約が終われば原則として返ってくるので、費用にはしません。3級では、賃借の契約で払う敷金(差入保証金)・仲介手数料(支払手数料)・家賃(支払家賃)の仕訳と、解約で敷金が返ってくるときの仕訳が問われます。
要点
| 支払うもの | 科目 | 区分 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 敷金・保証金 | 差入保証金 | 資産 | 契約が終われば返ってくる |
| 不動産会社への仲介手数料 | 支払手数料 | 費用 | 返ってこない |
| 建物(店舗・事務所)の家賃 | 支払家賃 | 費用 | 借りている期間の使用料 |
| 土地(駐車場など)の地代 | 支払地代 | 費用 | 土地の使用料 |
| 解約時の原状回復の費用 | 修繕費 | 費用 | 敷金から差し引かれる |
出題区分表では、差入保証金は「本来は上の級の項目だが、3級でも簡易な内容を出題する」という印(※)の付いた項目です。賃借の契約と解約の基本の仕訳を押さえます。
借りる側は「支払」の付く科目を使います。受取家賃・受取地代・受取手数料は、貸す側・仲介する側の収益の科目です。
仕訳のパターン
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 賃借の契約で敷金・仲介手数料・当月分の家賃を払った | 差入保証金 ××/支払手数料 ××/支払家賃 ×× | 普通預金 ×× |
| 家賃を払った(振込手数料は当社負担) | 支払家賃 ××/支払手数料 ×× | 普通預金 ×× |
| 解約で敷金が全額返ってきた | 普通預金 ×× | 差入保証金 ×× |
| 解約で修繕費を差し引いて返ってきた | 普通預金 ××/修繕費 ×× | 差入保証金 ×× |
例題
例題1
事務所の当月分の家賃 ¥150,000 を普通預金口座から振り込んだ。なお、振込手数料 ¥440 は当社が負担し、同じ口座から引き落とされた。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 150,000 | 普通預金 | 150,440 |
| 支払手数料 | 440 |
- 建物を借りて払う当月分の家賃は支払家賃(費用)。
- 当社負担の振込手数料は支払手数料(費用)。
- 合計 ¥150,440 が普通預金から減る。
ひっかけ:振込手数料を支払家賃に含めない。
例題2
月額家賃 ¥210,000 の店舗を賃借する契約を結び、敷金(家賃の 2 か月分)、不動産会社への仲介手数料(家賃の 1 か月分)、当月分の家賃を普通預金口座から振り込んだ。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 差入保証金 | 420,000 | 普通預金 | 840,000 |
| 支払手数料 | 210,000 | ||
| 支払家賃 | 210,000 |
- 敷金は ¥210,000 × 2 か月 = ¥420,000。返ってくるお金なので差入保証金(資産)。
- 仲介手数料 ¥210,000 は支払手数料(費用)、当月分の家賃 ¥210,000 は支払家賃(費用)。
- 合計 ¥840,000 を普通預金から支払った。
ひっかけ:敷金を支払家賃にしない。仲介手数料を差入保証金に含めない。
例題3
事務所の賃貸借契約を結び、敷金 ¥360,000 と不動産会社への仲介手数料 ¥120,000 を普通預金口座から支払った。なお、家賃は翌月から支払う。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 差入保証金 | 360,000 | 普通預金 | 480,000 |
| 支払手数料 | 120,000 |
- 敷金 ¥360,000 は差入保証金(資産)。
- 仲介手数料 ¥120,000 は支払手数料(費用)。今回は家賃を払っていないので、支払家賃は計上しない。
- 合計 ¥480,000 を普通預金から支払った。
例題4
賃借していた店舗の契約を解約し、契約時に差し入れていた敷金 ¥500,000 から原状回復のための修繕費 ¥86,000 を差し引いた残額が、普通預金口座に振り込まれた。
答えと解説
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 414,000 | 差入保証金 | 500,000 |
| 修繕費 | 86,000 |
- 解約で敷金を返してもらうので、差入保証金(資産)を全額 ¥500,000 減らす。
- 差し引かれた原状回復の費用 ¥86,000 は修繕費(費用)。
- 戻った ¥500,000 − ¥86,000 = ¥414,000 を普通預金の増加とする。
ひっかけ:差入保証金は返ってきた額ではなく、差し入れた ¥500,000 の全額を減らす。
この論点をランダム仕訳で練習(問題の型 3 種類。数字と取引先が毎回変わります)
まちがえやすい点
- 敷金は返ってくるので、支払家賃(費用)ではなく差入保証金(資産)。
- 仲介手数料は返ってこないので、差入保証金に含めず支払手数料(費用)にする。
- 解約のときは、差し入れた敷金の全額を減らす。差し引かれた分は修繕費。
- 建物の家賃は支払家賃、土地の地代は支払地代。
- 借りる側の科目は「支払」。受取家賃・受取手数料と向きを取り違えない。
- 決算で、支払った家賃のうち翌期の分を前払家賃(資産)に振り替える処理は、経過勘定の論点です。
よくある質問
敷金は何の勘定で処理しますか?
差入保証金(資産)で処理します。契約が終われば原則として返ってくるお金なので、費用にはしません。
仲介手数料は差入保証金に含めますか?
含めません。不動産会社に払う仲介手数料は返ってこないので、支払手数料(費用)にします。
敷金から修繕費が差し引かれたときの仕訳は?
差入保証金を全額減らし、差し引かれた額を修繕費(費用)、返ってきた額を普通預金などの増加にします。
出典:日本商工会議所 商工会議所簿記検定試験 出題区分表(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)
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