平成28年度 問題2 設問(2)論点:植栽・移植重要度 A未着手

クスノキの移植(溝掘り式根回しの仕組み・掘取りで行う作業・冬の移植の問題点と対策・ワイヤー張り支柱の措置)

これは1級造園施工管理技士 第二次検定 平成28年度(2016年12月4日(日)実施) 問題2 設問(2)の問題です。論点は「植栽・移植」(重要度A・解答の形は記述・穴埋め)。採点すると、解き方 4 手順・引っかけの指摘が読めます。

(2) 移植工に関し、以下の(イ)〜(ニ)について答えなさい。

【問題2】下図に示す公園の造園工事に関する以下の設問(1)〜(4)について答えなさい。

注)表中の*の欄に入れる語句及び数値は、出題の趣旨から記入していない。

〔工事に係る条件〕

・本工事は、一部供用を開始している総合公園の未供用区域において、左記の工事数量表に基づく工事を施工するものである。

・本公園の位置は関東地方である。

・展望の丘は、過年度工事で粗造成しており、本年度は盛土工の最終工程で、勾配は斜面方向により1:2〜1:6程度に仕上げる。そこに地被類植栽工として、斜面全体にノシバの張芝を施工するものである。

・植栽基盤工は、クスノキ及びシラカシの植栽予定地について行うもので、事前の調査により部分的に土壌が固結し、また有効土層の上部には埴壌土が、下部には砂壌土が多く分布していることが確認されている。

・高木移植工は、あらかじめ溝掘り式根回しを行ってあるクスノキを供用中の区域から移植するものである。

・遊具組立設置工は、本公園用に設計した木製複合遊具の組立設置を行うものである。

・工事区域内の園路及びパーゴラは別工事で、本工事の後に施工される。

・工期は、11月1日から翌年の3月10日までとする。

(イ) 溝掘り式根回しが樹木の活着・生育を促す仕組みを具体的に記述しなさい。

(ロ) あらかじめ根回しを行ってある樹木の掘取り作業において、樹木の品質を保持するために行う作業を3つ記述しなさい。(ただし、幹や枝葉に対して行う作業及び根巻きの作業は除く。)

(ハ) クスノキの移植にあたって、工期との関係で考えられる問題点を記述しなさい。また、その問題点に対する対策として行う作業内容を具体的に2つ記述しなさい。

(ニ) 植付け後のワイヤー張り支柱の取付けにおいて、樹木を確実に固定するために留意すべき施工上の措置を具体的に3つ記述しなさい。(ただし、樹幹の保護及び公園利用者等のワイヤーロープへの衝突防止に関する内容は除く。)

〔図面〕公園の造園工事の平面図(縮尺バー0〜50m、方位記号のNは上を向く)。図の右に縦方向の道路、下に横方向の道路がある。図の上側と左側は供用区域で、上側に親水広場の細長い池と、区画に分かれたしょうぶ園がある。一点鎖線の工事区域は、左上の木製複合遊具を置く区域、中央の展望の丘(等高線の破線で示す小山で、全面がノシバ)、右下の植栽地を含む。クスノキ(ク)6本は右下の植栽地に弧状に並び、その近くにパーゴラ(別工事)がある。シラカシ(シ)は工事区域の下辺の道路沿いと右辺に沿って並ぶ。展望の丘の周りと遊具の区域の脇に園路(別工事)がある。工事区域の外には既存木(白丸)が多数ある。凡例:一点鎖線=工事区域、ク=クスノキ、シ=シラカシ、点々=ノシバ、遊具の記号=木製複合遊具、白丸=既存木。ただし、図中の表示は位置のみを示している。
〔工事数量表〕
工種種別細別規格単位数量備考
敷地造成工盛土工発生土盛土―m³1,800他の工事現場で発生した良質土で盛土
植栽基盤工土層改良工**m²1,700*
植栽基盤工土性改良工**m²1,700*
植栽工高木植栽工シラカシH(m) 3.5、C(m) 0.18、W(m) 1.0本20二脚鳥居型支柱(添え木付)
植栽工地被類植栽工ノシバ36cm×28cm×10枚m²3,600*
移植工高木移植工クスノキH(m) 8.0、C(m) 1.0、W(m) 3.5本6ワイヤー張り支柱
遊戯施設整備工遊具組立設置工木製複合遊具―基1基礎を含む

解答欄

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本試験は解答用紙の枠に手書きです。書き終えたら「採点する」で模範解答と要点を表示し、書けていた要点にチェックを入れて記録します。

字数は本試験の解答欄に入るおおよその量です。「〜する」「〜を行う」の形で、具体的な数値や方法まで書くと要点が入りやすくなります。

正解

(イ) 溝掘り式根回しが活着・生育を促す仕組み 模範解答

一部の太根を残して他の根を切り、残した根を環状はく皮すると、葉からの養分がはく皮部で止まり、切り口やはく皮部の上から細根が出て、移植時に細根の多い根鉢となる。

79 字
別解

鉢の外周で根を切り、太根は環状はく皮して鉢の近くに細根を発生させる。残した太根で樹体を支えて吸水を続けながら、移植後に吸水する細根を鉢内に準備できる。

(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 1 模範解答

根回しの位置よりやや外側を掘り、根回しで発生した細根を切らないように鉢を取る。

39 字
別解

掘取りの前に十分灌水して根鉢を湿らせ、根の乾燥と鉢崩れを防ぐ。

掘り出した太根の切り口は、鋭利な刃物で切り返して切り口をきれいにする。

鉢を樹木に応じた径で垂直に掘り下げ、底部は丸みをつけて掘り取る。

(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 2 模範解答

掘取りの前に十分灌水して根鉢を湿らせ、根の乾燥と鉢崩れを防ぐ。

31 字
別解

根回しの位置よりやや外側を掘り、根回しで発生した細根を切らないように鉢を取る。

掘り出した太根の切り口は、鋭利な刃物で切り返して切り口をきれいにする。

当日中に植え付けられないときは、根鉢を覆土してシートで覆い、乾燥や凍結を防ぐ。

(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 3 模範解答

掘り出した太根の切り口は、鋭利な刃物で切り返して切り口をきれいにする。

35 字
別解

鉢を樹木に応じた径で垂直に掘り下げ、底部は丸みをつけて掘り取る。

当日中に植え付けられないときは、根鉢を覆土してシートで覆い、乾燥や凍結を防ぐ。

機械で掘り取るときは、根鉢の周りの土を踏み固めたり崩したりしないようにする。

(ハ) 工期との関係で考えられる問題点 模範解答

寒さに弱い常緑広葉樹のクスノキを、移植適期から外れた冬に移植するため、寒風による乾燥や凍害で根の働きが戻らず活着不良になるおそれがある。

68 字
別解

工期が11月〜3月10日で、クスノキの移植に適した春の新芽が伸びる前後の時期に移植できず、厳寒期の乾燥や低温で枯れるおそれがある。

(ハ) 対策として行う作業内容 1 模範解答

枝抜き剪定と摘葉で葉の量を減らし、葉からの水分の蒸散を抑える。

31 字
別解

幹をわらやこもで巻き上げ、寒風による幹からの乾燥と凍害を防ぐ。

根元にバークやわらを敷いてマルチングし、地温の低下と土の凍結を防ぐ。

枝葉に蒸散抑制剤を散布し、冬の乾いた寒風による水分の損失を抑える。

(ハ) 対策として行う作業内容 2 模範解答

幹をわらやこもで巻き上げ、寒風による幹からの乾燥と凍害を防ぐ。

31 字
別解

枝抜き剪定と摘葉で葉の量を減らし、葉からの水分の蒸散を抑える。

防風ネットや寒冷紗で樹冠を囲い、寒風と霜から枝葉を守る。

根元にバークやわらを敷いてマルチングし、地温の低下と土の凍結を防ぐ。

(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 1 模範解答

指定の本数のワイヤロープを、樹木を中心に偏りのない方向と効果的な角度にとって止め杭に結束する。

47 字
別解

止め杭は、ロープの張力で抜けたり傾いたりしない深さまで堅固に打ち込む。

ロープの末端の結束部はワイヤクリップで確実に止め、抜けや緩みを防ぐ。

ターンバックルで張力を調整し、ロープに緩みのないように張る。

(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 2 模範解答

ロープの末端の結束部はワイヤクリップで確実に止め、抜けや緩みを防ぐ。

34 字
別解

止め杭は、ロープの張力で抜けたり傾いたりしない深さまで堅固に打ち込む。

ロープどうしの交差部は、動揺しないように止めておく。

ターンバックルで張力を調整し、ロープに緩みのないように張る。

(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 3 模範解答

ターンバックルで張力を調整し、ロープに緩みのないように張る。

30 字
別解

止め杭は、ロープの張力で抜けたり傾いたりしない深さまで堅固に打ち込む。

ロープどうしの交差部は、動揺しないように止めておく。

植付け後しばらくは張りを点検し、緩んだロープは張り直す。

要点(書けていたものにチェック)(イ) 溝掘り式根回しが活着・生育を促す仕組み(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 1(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 2(ロ) 掘取りで品質を保持するための作業 3(ハ) 工期との関係で考えられる問題点(ハ) 対策として行う作業内容 1(ハ) 対策として行う作業内容 2(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 1(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 2(ニ) ワイヤー張り支柱で確実に固定するための措置 3
要点の 6 割以上で「正解」扱いにします。

模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。

解き方

  1. (イ) 溝掘り式根回しは、根鉢の外周に溝を掘って根を切り、一部の太根は切らずに残して形成層まで環状はく皮を行う(公園緑地工事共通仕様書(平成27年4月) 第2章2-4-3 1、令和8年6月版も同じ)。はく皮部で葉から下りてくる養分が止まり、はく皮部の上(根元側)や切断部から細根が発生する。残した太根で根回し中も樹体を支え水を吸い続け、移植のときは細根の多い根鉢を掘り取れるので活着がよくなる。
  2. (ロ) 根回しした樹木は、根回しで発生した細根を切らないよう根回しの位置よりやや外側で掘り取る。共通仕様書は、鉢を付ける樹種は樹木に応じた根鉢径で垂直に掘り下げ、底部は丸みをつけて掘り取ること(2-4-4 4)、根巻きの前に根の切り返しを行うこと(2-4-4 5)、当日中に植栽できない分は根部を覆土しシート等で覆って乾燥や凍結を防ぐこと(2-4-1 5)としている。掘取り前の灌水も根の乾燥と鉢崩れを防ぐ。幹・枝葉の作業(枝抜き・摘葉・幹巻き・仮支柱)と根巻きは除外されている。
  3. (ハ) 工期は11月1日〜翌年3月10日で、クスノキ(常緑広葉樹)の移植は冬になる。クスノキは寒さに弱く、移植は一般に新芽の伸びる前後の春や梅雨期が適し、厳寒期は避ける。冬に移植すると根の働きが戻らないうちに寒風で葉や幹から水分を失い、凍害も受けて活着不良になりやすい。対策は、蒸散を減らす枝抜き剪定・摘葉・蒸散抑制剤の散布、寒風・凍害を防ぐ幹巻き・防風ネット・寒冷紗・マルチングなど。共通仕様書は、幹巻きはこも又はわらをわら縄又はシュロ縄で巻き上げる(2-4-1 11(12))、蒸散抑制剤は使用剤・使用方法について監督職員の承諾を得る(2-4-1 9)としている。
  4. (ニ) 共通仕様書 第2章2-3-3 4(4)は、ワイヤロープを使用して控えとする場合は、樹幹の結束部に保護材を取り付け、指定の本数のロープを効果的な方向と角度にとり、止め杭に結束し、ロープの末端結束部はワイヤクリップで止め、ロープ交差部も動揺しないように止め、ロープは緩みのないように張るとしている(令和8年6月版も同じ)。樹幹の保護材と利用者の衝突防止(ロープの標示など)は除外されているので、本数・方向・角度、止め杭、ワイヤクリップ、交差部の固定、緩みのない張り(ターンバックル)から3つを書く。
引っかけ:(ロ)は根巻きと幹・枝葉の作業が除外されているので、樽巻き・揚巻き、枝抜き・摘葉、幹巻き、仮支柱は書かない。根回しの位置より内側(小さく)掘ると、根回しで出た細根を切ってしまう。(ハ)は「工期との関係」なので、冬(11月〜3月上旬)の移植になることと、常緑広葉樹のクスノキが寒さに弱いことを結びつける。

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出典:一般財団法人 全国建設研修センターが実施した1級造園施工管理技士 第二次検定 平成28年度(2016年12月4日(日)実施) 問題2 設問(2)。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する