土木施工管理技士の合格率の推移の読み方:年度ごとの変動と「何問で受かるか」

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

土木施工管理技士の合格率は、1級の第一次検定で 4〜6 割、第二次検定で 3〜4 割、2級はどちらも 4〜6 割の間を動いています。年度ごとの上下は、問題の難しさだけでなく、制度改正で受検者の層が変わった影響が大きいので、数字をそのまま「難しくなった・易しくなった」と読まないことが大切です。

合格率は「相対評価」ではない

最初に押さえておきたいのは、土木施工管理技術検定の合格基準が得点 60% 以上という絶対基準だということです(1級の第一次検定は、全体 60% かつ施工管理法〈応用能力〉60%)。上位何%を合格にする相対評価ではないので、合格率が下がった年は「基準を超えた人の割合が減った」ということであり、ライバルより上位に入る必要はありません。

ただし受検の手引には「試験の実施状況等を踏まえ変更する可能性があります」と書かれています。60% は目安であって固定の約束ではないので、ぎりぎりを狙う勉強は危険です。当サイトでは、本番で 7 割を安定して取れる状態を目標にすることをすすめています。

年度ごとの受検者数・合格者数・合格率の一覧は難易度・合格率のページにまとめてあります。この記事では、その表をどう読むかを説明します。

1級 第一次検定:令和 6 年度に受検者が 1.5 倍になった

1級の第一次検定の直近 3 年度は、令和 6 年度 44.4%(受検者 51,193 人・合格者 22,705 人)、令和 7 年度 43.1%(47,715 人・20,547 人)、令和 8 年度 49.8%(50,012 人・24,927 人)です。その前の令和 5 年度は 49.5%(32,931 人・16,311 人)でした。

数字の読み方で重要なのは、令和 6 年度に受検者が 32,931 人から 51,193 人へ、約 1.5 倍に増えていることです。令和 6 年度から受検資格が変わり、その年度中に 19 歳以上になる人なら学歴・実務経験に関係なく第一次検定を受けられるようになりました。これまで受検資格がなかった若い層や実務経験の浅い層が一気に加わったため、合格率が 5 ポイント下がったのは、問題が難しくなったというより、受検者の層が広がった結果と見るのが自然です。

もう 1 つの変化は、同じ令和 6 年度から出題数が 96 問(65 問解答)から 101 問(70 問解答)になり、土質力学・構造力学・水理学の必須 5 問が加わったことです。力学は公式の計算問題で、現場経験だけでは解けないため、ここで 5 問落とす受検者が増えたことも合格率に影響していると考えられます。

令和 8 年度に 49.8% まで戻ったのは、力学を含む新しい出題形式の過去問が 2 回分そろい、対策が立てやすくなったことが一因でしょう。令和 3 年度の 60.6% や令和 4 年度の 54.6% は、受検者の大半が実務経験者だった時期の数字なので、現在の受検者層でこの水準に戻ることは考えにくく、今後も 4 割台後半から 5 割前後で推移するとみて準備するのが現実的です。

1級 第二次検定:3〜4 割で、年度差は記述テーマの影響

1級の第二次検定の直近 3 年度は、令和 5 年度 33.2%(受検者 27,304 人・合格者 9,060 人)、令和 6 年度 41.2%(27,220 人・11,224 人)、令和 7 年度 38.9%(24,667 人・9,603 人)です。令和 4 年度は 28.7% と、この 10 年で最も低い値でした。

第二次検定は受検者数が 2 万 4 千〜2 万 7 千人でほぼ一定なので、受検者の層よりも、その年の問題の構成が合格率に出ます。中でも配点の中心と考えられる問題 1 の施工経験記述は、令和 6 年度から設問が 2 つになり、設問 1 で安全管理または品質管理、設問 2 で施工計画または環境対策というように、2 つの管理項目で書く形になりました。準備した管理項目が出なければ大きく失点する試験なので、年度ごとの出題テーマと受検者の準備の相性が、合格率の上下に表れていると考えられます。

この試験は解答が公表されておらず、設問ごとの配点も分かりません。合格率 3〜4 割という数字から読み取るべきことは「第一次検定に受かった人のうち 6 割以上が落ちる試験」であり、記述を書く練習をせずに臨む人が多いということです。経験記述の書き方を早めに読んで、工事の情報を整理するところから始めてください。

2級 第一次検定:令和 3〜4 年度の 6〜7 割は例外

2級の第一次検定の直近 3 年度は、令和 6 年度が前期 43.0%・後期 44.6%、令和 7 年度が前期 51.8%・後期 49.7%、令和 8 年度は前期 47.8%(受検者 14,060 人・合格者 6,723 人)です。令和 5 年度は前期 42.9%・後期 52.5% でした。

表を見ると、令和 3 年度(前期 70.3%・後期 72.6%)と令和 4 年度(前期 63.4%・後期 64.0%)だけが突出して高いことに気づきます。令和 3 年度は学科試験・実地試験が第一次検定・第二次検定に再編され、技士補の制度が始まった年で、2級の第一次検定に「基礎的な能力」の問題(8 問)が加わりました。制度が変わった直後の 2 年間は合格率が高く、令和 5 年度に 4〜5 割台へ落ち着いています。古い年度の数字を基準に「2級は 7 割受かる試験」と思って準備すると見込みが外れるので、令和 5 年度以降の 4 割台から 5 割前後を前提にしてください。

令和 6 年度からは 1級と同じく出題数が 61 問(40 問解答)から 66 問(45 問解答)になり、力学の必須 5 問が加わりました。前期と後期の差は年度によって向きが変わる(令和 5 年度は後期が高く、令和 7 年度は前期が高い)ので、「後期のほうが易しい」といった傾向はありません。受検者数は後期が前期の 1.7〜1.9 倍で、第二次検定と同じ日に受ける人が多いためです。

2級 第二次検定:35% から 63% まで振れる理由

2級の第二次検定の直近 3 年度は、令和 5 年度 62.9%(受検者 26,178 人・合格者 16,464 人)、令和 6 年度 35.3%(18,806 人・6,646 人)、令和 7 年度 53.7%(21,111 人・11,341 人)と、年度によって大きく振れています。

この振れ幅は、2級の第二次検定が経験記述と穴埋めの比重が大きく、出題テーマが受検者の準備と合うかどうかで得点が大きく変わる試験だからです。令和 6 年度は、経験記述の設問が 2 つになった最初の年で、工程管理が問われました。それまでは品質管理か安全管理を書けば済むと考えて準備していた受検者が多く、合格率が前年の半分近くまで下がったと読めます。令和 7 年度は 2 年続けて工程管理が出題され、対策が広まったことで 5 割台に戻っています。

したがって 2級の第二次検定は「易しい年に当たれば受かる」試験ではなく、品質・安全・工程の 3 つを自分の工事で書けるように準備した人が受かる試験です。合格率の数字より、前年の出題テーマを確認することのほうが役に立ちます。

2級 第二次検定の受検者数は、令和 2 年度以前は実地試験の出席者全員、令和 3 年度以降は第一次検定の合格者と第二次検定のみの受検者の合計なので、令和 2 年度以前と以降の合格率は単純に比べられません。

何問正解すれば受かるか

合格基準の 60% を、各検定の解答数に当てはめると次のようになります。

検定解答数合格ライン(60%)補足
1級 第一次検定70 問42 問かつ施工管理法(応用能力)15 問のうち 9 問
2級 第一次検定45 問27 問分野ごとの基準はない
1級 第二次検定記述(問題 1〜11)得点の 60%配点は非公表
2級 第二次検定記述(必須+選択)得点の 60%配点は非公表

1級の第一次検定で見落とされやすいのが応用能力の基準です。70 問中 50 問正解しても、応用能力 15 問が 8 問以下なら不合格で、個人の成績通知には「施工管理法(応用能力)問題の得点が合格基準未満のため不合格」と記されます。応用能力の問題は「適当なものはいくつあるか」のように 4 つの記述すべての正誤を問う形式が多いので、ここは暗記の精度を上げる必要があります。

2級の第一次検定は、必須問題 24 問(力学 5・共通工学と施工管理法 11・基礎的な能力 8)で 20 問取れれば、選択問題 21 問のうち 7 問で合格ラインに届きます。必須問題を固めることが、合格率の数字に左右されずに受かる方法です。

第二次検定は配点が公表されていないので「何問」とは言えません。問題用紙に、工事概要や設問 1 が無記載の場合は不合格と明記されていることから、経験記述を落とすと他の問題で挽回できない仕組みだと考えて準備してください。

よくある質問

合格率が低い年は問題が難しかったということですか?

一概には言えません。1級の第一次検定で令和 6 年度に合格率が下がったのは、受検資格の緩和で受検者が約 1.5 倍に増え、実務経験の浅い層が加わった影響が大きいとみられます。2級の第二次検定の令和 6 年度の落ち込みは、経験記述の設問の変更で準備が合わなかった受検者が多かったためと考えられます。

1級と2級ではどちらが難しいですか?

出題範囲はほぼ同じで、1級は問題数が多く、応用能力問題に独自の合格基準があり、専門土木や法規の選択肢も広い分だけ深い知識が要ります。第二次検定の合格率は 1級が 3〜4 割、2級が 4〜6 割で、1級のほうが低い水準です。

合格基準の 60% は毎年同じですか?

受検の手引には、試験の実施状況等を踏まえて変更する可能性があると書かれています。公表されている基準は 60% ですが、固定ではないので、7 割を目標に準備することをおすすめします。

受検者が増えると合格しにくくなりますか?

合格基準は得点 60% の絶対評価なので、受検者が増えても自分の合否には直接影響しません。合格率の数字が下がって見えるだけです。

あわせて読む

出典・参考:一般財団法人 全国建設研修センターの公開資料と国土交通省の報道発表(受検者数・合格者数・合格率)、令和8年度 1級・2級土木施工管理技術検定 受検の手引(合格基準・個人の成績の通知)

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